夢のマイホーム、誰もが一度は憧れる存在ですよね。しかし購入する都市によっては、法規制などで思うような外観に仕上がらないことがよくあります。日本の中でも法規制が外観に影響を与えやすい地域として名前があがるのが、東京都です。人口が多く戸建て住宅が建てられるエリアも多くはないため、土地にゆとりがある地域と比べると、法規制の影響を受けやすくなってしまいます。住宅の大きさもそうですが、特に規制の対象になりやすいのが屋根です。そのため今回は、東京の戸建て住宅が受けやすい屋根の法規制についてや、屋根の種類、メリット・デメリットを踏まえながらオススメの屋根形状について解説をしていきます。これから戸建て住宅の購入を検討している方は、是非参考にしてみてくださいね。
なぜ東京の戸建ての屋根は法規制を受けやすいの?
冒頭で、東京は他の地域よりも法規制を受けやすいとお話をしました。この法規制は基本的には建築基準法になりますが、同じ建築基準法を適応しているのに東京だけ法規制が厳しくなるのはなぜか、不思議ですよね。ここではまずは、東京に家を建てる前に是非知っておいてほしい法規制と東京の土地に関するお話をしていきます。またこれからお話しする内容は、国土交通省が規定する建築基準法においてのお話となります。建築基準法について「もっと知りたい」という方は、以下の国土交通省のホームページも確認してみてくださいね。
◎国土交通省ホームページ
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/index.html
敷地が狭いから
一般的なケースでのお話となりますが、東京の住宅の敷地は他の地域と比べて狭い傾向にあります。自治体によっては最小敷地のラインを設けているところもあるため、一概には言えませんが、それでも平均して東京の敷地は狭い傾向にあります。敷地が狭いと当然住宅は道路に近くなってしまいますが、これが法規制を受けやすくなる理由のひとつです。道路には道路車線の制限が設けられており、風通しや採光の確保を行うためにある程度道路から建物の距離を保たなければいけません。道路車線の制限は上に向かって狭まっていくため、住宅の計画によっては2階や3階部分がきれいな形状をとることができず、部屋の天井高を削ったり、屋根を変形させなければいけなくなるのです。敷地にゆとりがある地域では、道路と十分な間隔を設けることができるため屋根が法規制の影響を受けることが少ないのですが、東京ではよく見受けられるケースのひとつです。
住宅が密集しているから
敷地が狭い理由のひとつとしては、地域に需要があり細かく敷地を分割して売っているためです。その結果、希望する東京の地域に住めても、細かく分割した敷地の影響で住宅が密集してしまうケースもよくある事例です。住宅同士の間隔は法律で決められており、敷地に対して必ずしも思っているような形で建築できるとは限りません。少しでも住宅部分を広げようとすると、住宅が上から見た時にジグザグになるような形状になってしまうこともあり、屋根もその形状につられます。しかし屋根はなんでもいいというわけではなく、住宅の計画に合わせて適切な形状を保つ必要があるため、場合によっては法規制の維持と住宅の計画により不格好な屋根になってしまうこともあります。
災害リスクが高いから
高層ビルが建っていたり、住宅が密集していると、万が一の際の災害リスクが高くなります。そのため、特に東京などは防火地域や準防火地域と呼ばれる地域が多く、この地域に該当すると屋根や外壁、窓などが法規制の対象になります。災害時に燃えにくい素材を使う必要があり、費用としても非防火地域と比べて高くつくことが多いです。防火地域や準防火地域だからと言って屋根形状が制限されるということではありませんが、受ける制限が多くなることで、希望している計画ができないということもあるため事前に知っておく必要があります。
条例による規制が厳しいから
東京を含む一部地域では、歴史的建造物や自然景観を保護するために、景観地区に指定されている場所があります。こうした地区では、屋根の色や形状、材質に関して、周囲の景観と調和するよう規制が設けられています。また一部の自治体では、地域特有の景観や文化を守るため、独自の条例が制定されており、屋根のデザインや色彩に対する規制が厳しくなっています。その他都市計画における条例などが関係してくることもあります。建築基準法や法令では問題がない屋根形状や建物高さであっても、東京の一部地域にかかる条例や都市計画によって自由な設計ができないことも多いです。
各住戸の通風や日照の確保が難しいから
戸建ての屋根は法規制を受けやすい原因のひとつとして、住宅が密集している点をあげましたが、住宅が密集することにより各住戸の通風や日照の確保がより難しくなります。特に隣地が近い住宅同士においては、屋根の形状や軒の出が隣地に干渉してしまう可能性もあるため、それぞれの住宅の敷地にあった屋根計画が必要となります。屋根は見栄えのためだけではなく、通風や日照を遮らないかなどについても確認しながら、建築基準法や法令に沿って計画をしていく必要があります。特に法令が厳しく住宅が密集している東京では、屋根の設計にも十分な配慮が必要となります。もちろん、敷地内に規則に沿って建築する場合はどのような形状の屋根でも問題はありませんが、新築によって近隣住人に明らかに損害がでるような設計をしてしまうとトラブルに発展する可能性があります。東京での住宅計画は、既存住宅との取り合いや近隣への配慮も大切です。
東京の戸建てにオススメの屋根の種類やメリット・デメリットは?
屋根と聞くと、三角形の形をした切妻屋根をイメージされる方も多いかと思います。しかし東京の住宅密集地においては、その他の屋根が採用されるケースが多いです。ここでは東京の住宅密集地に多い屋根の種類や、そのメリット・デメリットについて解説をしていきます。
片流れ屋根(かたながれやね)
方流れ屋根は、ひとつの方向に対して傾斜をつけた屋根形状となります。東京都の住宅で法規制が厳しい地域では、道路車線の制限を避けるために使われることもあります。内側から見るとスタイリッシュな傾斜のついた天井になるため、東京都に限らずあえて片流れ屋根を採用される方も多いです。メリット・デメリットは、以下の通りです。
▶メリット
・屋根のつなぎ目が少なく雨漏りしにくい。
・建築コストやメンテナンス費用が安く済む。
・太陽光発電の導入がしやすい。
▶デメリット
・屋根のない面が多いため雨風の影響を受けやすく、外壁が劣化しやすい。
・一部分の排水量の負担がかかりやすく、雨樋などのメンテナンスが多くなりやすい。
寄棟屋根(よせむねやね)
寄棟屋根は日本国内においても伝統のある屋根形状で、四方向に勾配があり上から見ると長方形の形になっています。モデルケースでは四方にバランスよく配置されることで重厚感を出すことができますが、東京都の厳しい法規制を受ける地域では、複雑な形状の住宅に使いやすい屋根形状でもあるため住宅密集地では多い屋根形状です。メリット・デメリットは、以下の通りです。
▶メリット
・四方向に勾配があるため雨風に強く、外壁の劣化を防げる。
・屋根の高さを抑えることができるため斜線制限が厳しい地域などに適している。
・全体的な耐久性が高い。
▶デメリット
・浸水を受けやすい棟部分が長いため、雨漏りを起こしやすい。
・形状によっては通気が悪くなりやすく、内部結露を発生しやすい。
差しかけ屋根(さしかけやね)
差しかけ屋根とは切妻屋根を段違いにした形状の屋根です。階数に段差のある住宅に使われる屋根で、法規制の厳しい地域などでもよく使われる屋根です。屋根全体としては、スタイリッシュな雰囲気になります。比較的新しい種類の屋根で、東京以外の地域でも人気の屋根です。メリット・デメリットは、以下の通りです。
▶メリット
・屋根が分散されていることにより耐風性があり、突風などにも強い。
・屋根の段違い部分に通風や彩光を確保しやすい。
・建築コストやメンテナンス費用が安く済む。
▶デメリット
・接合部や下側の屋根の負担が大きく雨漏りを起こしやすい。
陸屋根(ろくやね)
陸屋根とは屋根の傾斜がほとんどないフラットな形の屋根のことです。鉄筋コンクリート造や鉄骨造などの構造を利用した住宅に多く見られ、水平に近い見た目のフラットさから近年ではスタイリッシュさを求めた外観の住宅に使われる傾向があります。東京では屋根の形状が悪くても室内の広さを取る方が多いですが、中には外観を優先したいという方もおり、そうした方が陸屋根を選ぶ傾向にあります。メリット・デメリットは、以下の通りです。
▶メリット
・屋根上スペースを利用できる。
・足場が不要のため、東京のような住宅密集地でも比較的メンテナンスがしやすい。
▶デメリット
・勾配が非常におだやかなため積雪や雨水の排出能力が低いため、雨漏りを起こしやすい。
・他の屋根形状よりメンテナンス回数が多くなりやすい。
新築時に屋根のメンテナンス計画も立てておこう!
本記事をご覧に慣れている方は東京に戸建て住宅を建てよう、と計画している方も多いかと思いますが、住宅の屋根は新築時だけではなくその後のメンテナンスもとても重要になってきます。特に屋根は雨漏り被害からさまざまな二次被害につながりやすい場所ですので、新築時には屋根の形状を決めるだけではなく、メンテナンスの時期や頻度を話し合っておく必要があります。最後に、住宅の寿命を長持ちさせるために必要なことについて解説していきますので、これから新築住宅を検討しているという方も参考にしてみてくださいね。
定期的な点検を実施する
屋根のメンテナンスを依頼すると聞くと、なんらかの工事を行うと思われる方も多いですが、実際は屋根の工事はそんなに頻繁に行うようなものではありません。しかし、屋根の定期的な点検は行う必要があります。屋根の点検作業では、プロの業者が屋根に登り、雨漏り症状や劣化症状が出ていないかを確認します。そのため万が一雨漏りが発生していたら早期段階で気付くことができますし、劣化症状があれば適切な処置を行うことで、雨漏りが発生する前に防ぐことができるのです。定期的な点検は新築時では5年に一度程度行う方が多いですが、点検単体だと5,000円~15,000円ほどの金額で収まることも多いため、毎年依頼しているという方もいらっしゃいます。東京でも場所によっては塩害リスクがあるため、お住まいの地域や屋根材の耐久年数を踏まえた上で、点検の実施を最初の段階で計画しておくようにすると安心です。
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屋根の点検費用はどのくらい? 点検が必要な理由ってなに?
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適切なメンテナンスシーズンに予約を押さえておく
実は屋根のメンテナンスには、オススメなシーズンがあります。それが、春と秋です。これからの季節ですと秋が該当するため、今月末から来月にかけて東京都では屋根のメンテナンスの依頼が急増する傾向にあります。秋にメンテナンスの依頼が増える理由としては、秋がメンテナンスに適した季節であるということです。台風によって傷んだ屋根の修復や、天候が安定しやすい秋は屋根と、外壁などのメンテナンスも増えてきます。春も同様の理由でメンテナンス依頼が増加します。天候が落ち着いていると予定の変更も起こりにくく、万が一修理が発生した際にも業者も対応しやすくなるのです。そのため余裕を持って春や秋に、メンテナンスを依頼するようにしておくのがオススメです。
◎合わせて読みたい記事!
関東は台風が多い? 屋根のメンテナンスを行うベストな時期は10月~11月?
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屋根のメンテナンスは業者選びも慎重に!
建物のメンテナンスは、一回限りではなく数年に渡って何回も行っていくものです。大切な住宅の屋根を任せるのですから、やはり業者選びも妥協せず行っていきたいものですよね。特に東京は業者の母体数が多いため、地域に絞ったインターネット検索でも、選びきれないほどの業者が出てくることもあります。しかし中には不当な利益を得ようとする悪徳業者が紛れており、屋根修理や屋根点検における詐欺被害が増加していることに、注意をしなければいけません。そこで最後に、屋根のメンテナンスを依頼する業者選びの注意点について解説をして終わります。
施工経験の豊富な業者であるか
屋根の工事や点検は、知識があるだけでは十分とは言えません。知識をいかせる施工経験が必要です。というのも、屋根のトラブルはその住宅によって原因がさまざまで、雨漏りはプロの業者であっても原因特定が難しいことも珍しくありません。屋根の工事や点検では、トラブルが発生している箇所を正確に見抜き、原因を追究して対応する力が求められます。そのため、屋根の工事や点検の実績が豊富な業者を選ぶようにしましょう。経験を売りにしている業者は、ホームページなどに施工数を記載していたり、ブログなどで紹介しているケースも多いです。正確な数値を知りたいという方は、年間どのくらい屋根の施工をしているのか直接業者に問い合わせてみるのもオススメです。施工経験だけがすべてではありませんが、施工不良が許されない屋根の工事や点検では、ぜひチェックしておいていただきたい部分でもあります。
予算や希望に寄り添った提案をしてくれるか
技術力は確かでも、こちらの予算や希望に寄り添ってくれないような業者とは、工事の依頼がストレスに感じてしまうかもしれません。自社の利益を優先して明らかに予算オーバーな提案をしてきたり、希望を尊重してくれない業者は、信頼できる業者とは言えません。業者がどのようなスタンスかは、見積もりや現地調査の際にある程度判断することができます。契約前に業者との相性を知っておくことも大切ですので、見積もりや現地調査の段階で、業者がどのような受け答えをしているのか、予算や希望に寄り添った提案をしてくれるかを確認しておきましょう。
緊急時にすぐに駆け付けてくれる距離か
屋根のトラブルは、急に発生することも珍しくありません。例えば台風や強風による瓦屋根の飛散、雨漏り、飛来物による損傷・・・など、予想しないタイミングでトラブルに見舞われてしまうこともあるかと思います。そんな緊急時に、業者がすぐに駆けつけてくれる距離にいるかどうかも、業者選びのポイントです。優秀な業者だからといって、あまりに遠方の業者に依頼している場合は、緊急時にもすぐに駆けつけられないなんてことが考えられますよね。見積もりや工事の度に出張費用が多くかかってしまう可能性もあります。そのため、長い付き合いになる屋根の工事や点検は、できれば緊急時にすぐに駆け付けられる程度の距離にいる業者を選ぶようにしましょう。
「無料」「保険を使える」などの営業トークを使っていないか
台風やゲリラ豪雨があった地域で特に増えるのが、火災保険詐欺です。屋根の工事は一定の条件を満たした場合においては、火災保険を使用して全額もしくは一部を保険金で賄って修理することができます。しかし保険適応かどうかや保険金の金額は、加入している火災保険の保険会社が決めることですので、いくら経験が豊富な業者であっても保険申請前に判断することはできません。こうした事実があるにも関わらず、「保険で無料で修理できますよ」などといった営業トークで近づいてくる業者は危険です。安易に契約をしないようにしましょう。
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火災保険を口実にした屋根修理の詐欺が増えています! 詐欺を見抜く力を付けよう!
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まとめ
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