日本の住宅に使われている屋根は、大きく分けると4種類に分けることができます。それぞれの屋根にはメリット・デメリットが存在し、屋根の特徴は外観に影響も及ぼします。そのため、住宅の計画において「どんな屋根の種類にするか」を考えることは避けて通れない道です。しかし多くの方はどんな屋根を選べばいいのか、どんな屋根が住宅のイメージに合うのか悩んでしまう部分でもあるかと思います。突然屋根を選ぶように言われても、たくさんの種類の中から選ぶのは大変ですよね。そのため今回は日本で一般的に使われている住宅の屋根4種類について、屋根のそれぞれの特徴と、メリット・デメリットについて詳しく解説をしていきます。是非参考にしてみてくださいね。
スレート屋根の特徴とは?
スレート屋根は、国内のシェア率が高い屋根のひとつで人気があります。スレート屋根は屋根を発売しているメーカーによって、「コロニアル屋根」「カラーベスト屋根」といった商品名で呼ばれることもあるため、スレート屋根と別物と考えてしまう方も多いですが分類としては同じ屋根です。スレート屋根のスレートは元は西洋で広まった屋根で、英語ではslateと表記し、粘板岩のことを指す言葉です。スレート屋根には天然スレートと化粧スレートの2種類が存在し、日本国内では化粧スレートが主流です。天然スレートはその名前通り天然のもので粘板岩で形成されたもので、とても高価な材質です。日本では住宅に使われるケースは多くなく、公共施設などに使用されることが多いです。一方化粧スレートは、セメントに繊維素材を混ぜ合わせて暑さ5mm程度にした屋根材のことで、人工のスレート屋根とも言えます。見た目は天然スレートのような風合いのため、天然スレートよりも安いながらにもスレートの良さを楽しむことができます。
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スレート屋根のメリット
バリエーションが豊富
スレート屋根は国内でも人気があるため、さまざまなメーカーから多数の商品が発売されています。そのため、バリエーションが豊富で住宅の外観イメージに合わせた種類を選ぶことができます。
価格が安い
一般的に普及している化粧スレートの場合は、㎡単価が4,000円~8,000円ほどとなっておりグレードの高い種類でも比較的安い金額で取り入れることが可能です。屋根材の価格を抑えつつもデザインを楽しみたい方に向いている屋根です。
軽量で耐震性に優れている
化粧スレートは人工物であるため、軽量で建物に対しての負担も少なくすることが可能です。また、大きな地震が発生した際にも重さで屋根が落ちてしまうリスクも低く、地震が多い日本には向いている屋根材のひとつです。
施工可能な業者が多い
需要が高いため、スレート屋根に対応できる業者も増加傾向にあります。また扱える業者が多いということは、修理やメンテナンスできる業者が多いということでもあります。そのため何らかのトラブルが発生した際にも、対応してくれる業者を見つけやすく依頼しやすい環境です。
スレート屋根のデメリット
メンテナンスの頻度が高い
他の屋根と比べて、多少ではあるものの耐久性が劣ります。そのため、定期的なメンテナンスが必要となります。きちんとメンテナンスを行っていれば耐久性の面でも十分にカバーすることができますが、長い期間放置しているなどの場合には既に屋根が大きなダメージを負っている可能性もあるため注意が必要です。
水を吸収しやすい性質がある
スレート屋根そのものには水を吸収しやすい性質があるため、定期的に塗装によるメンテナンスを行っていないと屋根材が水を吸収し、剥がれてしまったり変形してしまうことがあります。
軽量のため割れやすい
軽量であることは建物への負担を減らすという面でメリットでもありますが、衝撃に弱く割れやすいという一面も持ちます。そのため台風による突風や、飛来物などによって破損してしまい、そこから雨漏りにつながるというケースもよく見受けられます。
スレート屋根のメンテナンス時期と費用
メンテナンスの時期
一般的なスレート屋根の耐用年数は15年~25年程度と言われています。そのため、新築から15年程度で一度メンテナンスを行っておくと安心です。新築以降では、屋根の耐久性や機能性が下がってきやすくなりますので、10年に一度は業者に点検してもらい、メンテナンスの必要性があるか確認してもらいましょう。既に雨漏りを経験しているスレート屋根の場合は、5年~7年に一度のペースで業者に点検を依頼しておくと安心です。
メンテナンス費用
スレート屋根のメンテナンス費用は、30坪ほどの住宅であれば塗装で30万ほどが費用相場となります。葺き替え工事であれば100万円ほどになります。いずれにしても住宅の状況や選ぶ材質によって費用の増減はありますので、メンテナンスを依頼する際は複数業者への相見積もりがオススメです。
ガルバリウム屋根の特徴とは?
ガルバリウム屋根は金属屋根の一種で、その特徴的な意匠性から近年注目を集めている屋根材のひとつです。JIS(Japanese Industrial Standards)規格において「55%アルミ・亜鉛合金メッキ鋼板」と位置づけられており、近い素材としてはトタン屋根のトタンがあげられます。ガルバリウム屋根は、錆びにくいという特徴を持っているため、メンテナンスフリー屋根として葺き替え工事などでもよく選ばれる屋根です。
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ガルバリウム屋根のメリット
耐震性や耐久性に優れている
ガルバリウム屋根は軽量のため耐震性に優れ、また軽量でありながら耐久性にも優れいています。耐震性に優れている屋根は軽く、耐久性に優れている屋根は重いという、相反する今までの屋根の特性をカバーするガルバリウム屋根は、地震の多い日本の住宅にはピッタリな素材の屋根です。
耐水性に優れいている
ガルバリウム屋根は耐水性に優れているため、屋根材そのものとしても雨漏りに強く非常に優秀です。寒冷地などでは屋根の凍害も大きな問題となっていますが、耐水性に優れているガルバリウム屋根は防水性能があるため凍害を防ぐこともできます。
勾配のしばりがあまりない
屋根材によっては、屋根の勾配がゆるすぎると使えないものもあります。しかしガルバリウム屋根は、0.5寸(約3度)から施工が可能となっているため、ゆるい勾配の屋根にも問題なく使用することができます。
加工しやすい
ガルバリウム屋根は加工しやすいというメリットがあるため、複雑な入り組んだ屋根などにも施工することができます。住宅密集地や厳しい法規制のある地域だと屋根の形によってある程度屋根材が制限されてしまう部分もありますが、ガルバリウム屋根の場合はそうした心配はいりません。
ガルバリウム屋根のデメリット
断熱性が低い
ガルバリウム屋根は金属屋根であるため、熱伝導率が高く断熱性の面では劣ります。金属屋根全般として内部結露は大きな問題となっておりましたが、近年は鋼板の裏面に硬質ウレタンフォームを貼り付けガルバリウム銅板屋根材に足りない断熱性の性能を向上させるという手法が広まり、定期的にメンテナンスを行うことで安心してガルバリウム屋根を使うことができるようになりました。
遮音性が低い
金属屋根は雨音を強く室内に響かせてしまう面を持っているため、他の屋根材と比べて防音面でも注意しなければなりません。断熱性を高めるのと同時に、下地材を防音性の高い物に変更するなど、施工時には注意すべき点があります。
ガルバリウム屋根のメンテナンス時期と費用
メンテナンスの時期
一般的なガルバリウム屋根の耐用年数は、30年~40年ほどと言われています。葺き替え工事において「メンテナンスフリー」とうたわれるのは、この耐用年数の長さが理由です。とは言いつつも、定期的なメンテナンスを行わなければ雨漏りなどにより建物がダメージを受けることもあります。そのため、最低でも15年に一度は業者によるメンテナンスや点検を受けるようにしましょう。
メンテナンス費用
ガルバリウム屋根の塗装によるメンテナンスでは、30坪の住宅で30万~60万円程度が相場です。葺き替え工事の場合は60万~100万円ほどが相場となりますが、使用するガルバリウム屋根のグレードによって大きく変動するため、見積もり時にはグレードも確認しておくようにしましょう。
瓦屋根の特徴とは?
瓦屋根は古くから日本国内で使用されてきたため、日本人には最も馴染のある屋根材です。そんな瓦ですが、実は種類は4種類ほどありそれぞれを「陶器瓦」「いぶし瓦」「素焼き瓦」「セメント瓦」と呼びます。陶器瓦は粘土を原料とし、高温で焼成された焼き物の瓦のことです。いぶし瓦は少し特徴的な製法で、高温で焼き上げた後に空気を遮断して蒸す作業を行います。この工程を燻化(くんか)と呼び、燻(いぶ)す形成方法から、いぶし瓦と呼ばれるようになりました。素焼き瓦は、粘土を瓦の形に形成し、何も塗らずにそのまま窯で焼く生成方法から、素焼き瓦と呼ばれています。セメント瓦はその名前の通り、セメントで形成された瓦のことを言います。形成後は表面を塗装ふることでセメント感をなくし、日本の住宅にも合うデザインに仕上がります。それぞれの瓦に特徴はあるものの、ここからは一般的な瓦屋根に共通している内容について詳しく解説をしていきます。
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瓦屋根のメリット
耐久性が高い
瓦屋根の最大のメリットは、耐久性の高さです。古くからある屋根ではあるものの、耐久性においては一番であると言えます。特に粘土や土などで形成された瓦であれば、劣化しても錆びることがなく雨漏りのリスクも減ります。
断熱性が高い
瓦屋根は一枚ずつ積み重ねていく施工方法のため、重なりの下には隙間が発生します。この隙間がワンクッションになり、室外・室内の空気を外に逃がしにくく断熱効果を高める働きがあります。
防音性が高い
瓦屋根は音を吸収してくれる働きがあるため、防音性も高い屋根です。また瓦の重なりの下部にある空気層が、防音効果も発揮するため室内に雨音などが響きにくくなっています。
屋根のデメリット
重く割れやすい
瓦屋根はその種類によっては重さもあるため、大きな地震などでは重さに耐えきれずに落ちてしまうことがあります。また基本的には瓦屋根は陶器などで生成されているため、外からの強い刺激に弱く、割れやすい性質があります。耐久性に優れているものの刺激には弱いため、台風などの自然災害により瓦屋根が割れてしまうことも多々あります。
施工可能な業者が少ない
瓦屋根は独特の施工法となるため、瓦屋根に熟知した職人が必要です。しかし他の屋根材の開発や普及が進む中、瓦屋根に精通する職人が少なくなってきているとも言われています。そのためトラブルが発生した際に、瓦屋根に精通する技術を持った業者を探す必要があります。
初期費用が高い
瓦屋根は高い耐久性が魅力のひとつですが、その分初期費用は高くなりやすいのも特徴です。長期的に見ればメンテナンス費用が少ないという見方もできますが、初期費用にかかる金額については慎重な資金計画が必要です。
瓦屋根のメンテナンス時期と費用
メンテナンスの時期
瓦屋根は耐用年数が50年とも言われており、他の屋根にはない強さがあります。住宅を建てるタイミングによっては、その後の大きなメンテナンスは不要と言われることもあります。しかし、他の屋根と同様でプロの業者による定期的な点検やメンテナンスは必要です。具体的なタイミングとしては、10年~15年に一度はメンテナンスをやっておいた方が安心です。
メンテンナス費用
瓦屋根のめくれや補修など部分的な修理費用は、数千円~30万円程度です。瓦屋根は部分的なメンテナンスや修理であれば安く済むことも多いですが、瓦の交換などは瓦分の費用も上乗せで高くなります。葺き替え工事などの場合は100万~150万円程度ですが、瓦の種類やグレードによっては200万円を超えることも珍しくありません。また住宅の規模が大きいほど費用も大きくなるため、屋根の施工面積が大きな住宅は高額になりやすいです。
トタン屋根の特徴とは?
トタン屋根は薄い金属板を利用した屋根で、高性能な屋根材の普及により住宅に使われることは減り、現在では物置小屋や工場の屋根として採用されることが多い屋根材です。波系の薄い屋根をトタン屋根と認識されている方も多いかと思いますが、トタン屋根は亜鉛メッキされた鉄板をトタン屋根と呼び、金属屋根の中でも最もシンプルな屋根材です。トタン屋根は軽く施工も簡単であることから、日本国内では1906年頃に瞬く間に広がっていきました。
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屋根のメリット
軽量で扱いやすい
トタン屋根は軽量で扱いやすいため、今でも多くの用途で使用されています。また、屋根材の中で一番重いとされている瓦屋根と比較すると、トタン屋根は10~15分の1ほどの軽さであると言われています。そのため、建物への負荷も少なく、耐震性にも優れた効果を発揮します。
初期費用が安い
トタン屋根は金属板であるため、他の屋根と比べても比較的安価で手に入れることができます。今は住居用に積極的に使われることは減りましたが、物置小屋などの屋根としては安く施工できるため、場所を見極めてトタン屋根を使用することで工事費用を抑えることができます。
雨漏りのリスクが低い
意外に思われるかもしれませんが、トタン屋根は雨漏りのリスクが低く、そういった面でも需要のある屋根材です。トタン屋根の雨漏りが少ないのは、トタン屋根が一枚の金属板であるためです。一枚の板であるためつなぎ目がなく、雨水が入り込むリスクが少ないというわけです。
勾配に左右されず施工できる
トタン屋根は屋根の勾配に大きな条件がなく、複雑な形状でない限りは多くの場合施工することができます。特に物置小屋などは勾配がゆる焼かなことが多いため、勾配に左右されないトタン屋根はピッタリです。
屋根のデメリット
防音性が低い
トタン屋根は薄い金属屋根のため、音が響きやすく防音性が低いです。人が長時間トタン屋根の下にいる想定であれば、トタン屋根だけではなく防音材などを入れて対応する必要があり、その分プラスで費用がかかります。
断熱性が低い
トタン屋根は熱伝導率が高く断熱性が低いため、トタン屋根の下で人が長時間過ごすには難しい環境になります。対策としては断熱材を多く入れるなどが必要となりますが、こちらも防音材と同様追加で費用がかかります。
屋根が錆びやすい
金属屋根は、経年劣化によりネジなどの部品や屋根そのものが錆びやすい状態になります。錆が進行するとネジなどの部品周辺や屋根材に穴が開き、そこから雨漏りにつながることがあります。
屋根のメンテナンス時期と費用
メンテナンスの時期
トタン屋根の耐用年数は20年~30年ほどと言われており、しっかりとメンテナンスを行っていれば十分長く使うことができる屋根でもあります。そのため最低でも10年に一度のペースで、プロの業者に点検やメンテナンスを依頼し、錆や錆穴などがないか確認してもらうようにしましょう。
メンテンナス費用
トタン屋根は他の屋根と同様、メンテナンスは塗装を行います。塗装は施工面積にもよりますが、一般的な住宅であれば50~80万円程度と言われています。葺き替え工事は屋根全体を新しくするため、住宅の場合は100万円を超えることも珍しくありません。しかしこの数値は30坪ほどの住宅を基準に出している費用相場ですので、今現在トタン屋根を使われている方でも、耐用年数や機能性の面で次の屋根材は違うものを選択される方が多いです。
屋根の点検やメンテナンスは信頼できる業者に依頼しよう!
4種類の屋根について解説をしてきましたが、いかがだったでしょうか。それぞれの特徴やメリット・デメリットだけではなく、メンテナンスのタイミングやかかる費用まで組み込んで計画することが大切です。また基本的に屋根に関わる工事は高額になることが多く、葺き替え工事など屋根全体のリフォームであれば更に高額になるため慎重に業者を選ぶ必要があります。屋根の工事で失敗しないためにも、相見積もりを必ず行い、依頼する業者のホームページや施工実績なども踏まえて事前によく確認しておくようにしましょう。一部業者の中には、悪徳業者も存在しており詐欺は年々増加傾向にあります。悪徳業者から身を守るためにも、依頼前にはしっかりと業者の見極めをしましょう。
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まとめ
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