屋根の修理や葺き替え工事の際には、ルーフィングを張り替えることがほとんどです。しかし一般の方が普段見聞きする言葉ではないため、見積書を確認したお客様から「見積書に書いてあるルーフィングってなんですか?」「屋根の工事に必要なんですか?」というご質問をいただくことがあります。雨水から住宅を守るうえで、ルーフィングはとても大切な役割を果たしており、どんな屋根であっても必要不可欠な存在です。今回はそんなルーフィングについて詳しく解説をしていきます。屋根の工事を検討されている方は是非参考にしてみてくださいね。
屋根に使われているルーフィングとは?
ルーフィングは屋根材の下に設置されるもので、主に屋根材の隙間から侵入した雨水を外に排出する防水材の役割を果たしています。ルーフィングの下には下地材があり住宅の屋根を構成していますが、木造住宅の場合この下地材は木材が使われています。そのため雨水が屋根材の間から入り込んでしまうと、木材部分に雨水が染み込みやがて建物内部への雨漏りにつながっていきます。こうした被害を防ぐためにもルーフィングは雨水が入り込まないように、屋根材の下にしっかりと敷き詰められています。丁度写真が屋根材を敷く前にルーフィングを敷き詰めた写真になります。屋根材の下は基本的にはこのようにルーフィングが隙間なく敷き詰められています。
費用相場は800円/㎡
気になるルーフィングの費用は、ルーフィングのグレードや種類によっても変動があります。ルーフィングの種類については後述しますが、全体的な費用相場を考えると1㎡あたり800円前後となっています。ただし一般的にはルーフィングだけを行う工事はありませんので、見積もりを見る際にはルーフィングだけを見るのではなく全体の工事費用もチェックする必要があります。以下の記事では、ルーフィングの金額も含んだ屋根にかかる一般的な工事内容についてまとめていますので、そちらも是非参考にしてみてください。
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耐用年数は20年
ルーフィングシートの耐用年数は、現在の物ですと一般的には20年前後と言われています。こちらが指定しなくても業者は次のメンテナンスも考えた上で、20年前後の耐用年数の物を選定してくれます。しかし中には安さを売りにしているあまり、このルーフィングシートを非常に安価で耐用年数が短い物を採用している業者もいます。今の住宅に長く住む予定がない、次のメンテナンスが短くなることを理解した上で今回は予算重視したい、などの特別な事情がない限り耐用年数が短すぎるルーフィングシートを使うのは危険です。逆に20年よりも倍以上長持ちするルーフィングも存在します。以下でルーフィングシートの種類について解説をしていきますが、見積もりを貰った際は必ずルーフィングシートの種類までを確認しておくようにしましょう。
屋根のルーフィングシートには6つの種類がある!
文中で触れていますが、屋根のルーフィングシートには種類があります。業者によって取り扱いが違うこともありますが、ルーフィングシートの種類は予算や目的に応じて使い分けるのが一般的です。自宅の屋根のルーフィングシートが何かわからない、という方も多いかと思いますが、次回のメンテナンスの際には是非確認してみてくださいね。またルーフィングシートの種類を知っておくことで、明確な希望があれば業者に指定をすることもできますし、一部の悪徳業者を回避することもできます。それではさっそく、屋根のルーフィングシートの種類について詳しく見ていきましょう。
アスファルトルーフィング
費用相場:500円~/㎡
耐用年数:10年程度
鉄筋コンクリート造の住宅や、平面が多い陸屋根などの住宅に使われることが多いアスファルトルーフィングですが、実はアスファルトルーフィングには大きく分けて2種類存在します。そのうちのひとつが「アスファルトルーフィング」という名前で販売されています。最初にお話しするこのアスファルトルーフィングですが、耐用年数が10年程度と言われております。板状になっている段ボールのような紙に、アスファルトを染み込ませて使う防水材のことです。一般住宅に広く普及しており手に入りやすく、止水性も高い上に初期費用が安いことが最大のメリットです。しかし耐久年数を考えると10年毎のメンテナンスは必須となり、耐久性が落ち始めたアスファルトルーフィングは破れやすく、結露を起こしやすい点がデメリットです。長期的な目線で見るとその他のルーフィングシートよりも、メンテナンスによる張替えによりトータル費用が高くなる傾向にあります。
改良アスファルトルーフィング
費用相場:700円/㎡
耐用年数:20年~30年程度
こちらがもう一つのアスファルトルーフィングで、区別するために名前の最初に改良と付いています。改良アスファルトルーフィングは、アスファルトを染み込ませる板紙を合成繊維不織布などに変えて、耐久性を更に高めたものを言います。物によっては表面部分に合成繊維不織布を使用しているものや、そのまま貼り付けることができる物まで多種多様で、商品によって個性があります。改良アスファルトルーフィングのメリットは、アスファルトルーフィングの止水性の高さを維持したまま、耐用年数が20年~30年ほどと2倍近くあるため、メンテナンスを考慮するとアスファルトルーフィングよりも性能が高くなります。しかし結露などを生じやすく、雨漏りが起きていなくても建物内部にダメージを与えてしまうリスクがあります。
透湿防水ルーフィング
費用相場:1,000円~/㎡
耐用年数:50年程度
技術の開発が進み、今では外気の影響を受けにくい高断熱・高気密な住宅が多くなってきました。高断熱・高気密な住宅は、暖房や冷房の費用を抑えることもでき通念を通して過ごしやすい点が特徴です。しかしその性能の高さから、湿気が外に逃げにくくなってしまっており、屋根部分に留まってしまい内部結露につながるというケースが多く発生していました。こうした結露の問題を回避するために使われ始めたのが、透湿防水ルーフィングです。文字の通り内側にこもってしまった湿気を外に逃し、結露を防ぐことができます。湿気となり外部に排出される蒸気は水よりも小さな分子となり透湿防止シートを通り抜けることができます。蒸気を通してしまうなら雨も通してしまうのでは、と不安に感じる方もいらっしゃいますが、透湿防止ルーフィングは蒸気よりも大きな分子になる水は通さない造りになっているため、外からの雨水の侵入を防ぐことができます。非常に画期的な透湿防止ルーフィングですが、耐用年数も50年以上と持ちが良くヨーロッパの建築などでも用いられています。しかし一方で効果なルーフィングシートのため、取り入れるためには予算を高く設定しておく必要があります。
合成高分子系ルーフィング
費用相場:900円~/㎡
耐用年数:15年程度
合成高分子ルーフィングとは、合成ゴムや合成樹脂からなるものを示します。アスファルトルーフィングに分類されないものを、まとめて合成分子系ルーフィングとも呼びます。アスファルトルーフィングはアスファルト部分に重さが出てしまいますが、合成高分子軽ルーフィングはアスファルトを使用していないため軽量になる特徴があります。比較的安価で伸縮性があり破れにくいというメリットがあります。しかし耐用年数は15年とルーフィングにしては短めで、紫外線による劣化がしやすい特徴があるため、比較的短期間でのメンテナンスが必要になります。
粘着層付きルーフィング
費用相場:900円~/㎡
耐用年数:30年程度
粘着層付きルーフィングは、その名前の通り屋根下地に張り付ける側の部分が粘着層になっているものです。片面テープのようなイメージです。下地にピッタリ張り付けることができるため、防水性が高く雨漏りのリスクを減らすことができます。ただし粘着面が屋根からの湿気を逃がしにくく、性能のいい住宅ほど結露のリスクが出てきます。粘着層付きルーフィングは耐用年数が30年と長い分、初期費用が高価になる傾向があります。長期的なメンテナンス費用を抑えながらも雨漏りのリスクを減らしたい、という方に向いています。
不織布ルーフィング
費用相場:800円~/㎡
耐用年数:30年程度
不織布はマスクで使用されていることから近年よく耳にする言葉ではありますが、実はルーフィングにも不織布が使われることがあります。不織布と改良アスファルトを組み合わせたものです。不織布を組み合わせることで耐久性を向上させ、雨漏りのリスクやメンテナンスの手間を抑えることができます。近年注目を集めているルーフィングのひとつで、実際に取り入れている住宅も増えてきました。費用は不織布を組み合わせる手間が発生するため、改良アスファルトルーフィングよりも高価になり、不織布のグレードに応じて金額と耐久年数が高くなります。不織布ルーフィングは30年が一般的な耐久年数ですが、グレードの高い不織布を使用することで耐久年数を50年程度にすることも可能です。
ルーフィングシートのメンテナンスは定期的に!
ルーフィングシートは普段私たちの目に見えない屋根材の下にあります。そのため耐用年数を過ぎていても放置してしまっている、という方も実は多いです。今のルーフィングシートは全体的に性能がよく、メーカーが推奨している耐用年数を超えても問題なく使えているというケースはとても多いです。しかしルーフィングシートのメンテナンスを行うと、雨漏りがそのまま屋根材に伝わってしまうため放置してしまうのは危険です。そのため、定期的にプロの業者に依頼してルーフィングシートのメンテナンスをしてもらいましょう。
基本的には屋根と同時にメンテナンスをする
ルーフィングの点検だけを行う、ということは基本的にはありません。ルーフィングは必ず屋根とセットで点検を行っていきます。屋根に勾配がある場合、作業員の転落を防ぐために足場を組むことがほとんどですが、足場代は20万~30万円程度かかります。そのため屋根は部材ごとにメンテナンスをしていくよりも、一度にまとめてメンテナンスをして修理が必要であれば修理をしていく、というやり方の方が経済的かつ工事期間のストレスも軽減できます。ルーフィングが破れていないか不安、結露が心配・・・という方は、屋根の業者に適切なタイミングでメンテナンスに来てもらえるよう伝えておくのもオススメですよ。
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外壁塗装も同時メンテナンスで足場代を浮かせる
屋根のメンテナンスをお考えの方にもう一つアドバイスをさせていただきたいのが、外壁も一緒にメンテナンスを行うというないようです。外壁のメンテナンスも高所作業になるため、必ず足場が必要になります。足場は上記にも記載したように非常に高額になるため、住宅の高所部分のメンテナンスは一度に済ませてしまうことが一番コストがかかりません。屋根修理と同様外壁塗装も定期的なメンテナンス、雨漏りの際は修理が必要になります。屋根修理だけに特化した業者や、外壁塗装だけに特化した業者も多いですが、屋根も外壁も可能であればどちらも扱えるひとつの業者に相談した方が工事の相談などもコンパクトに済みます。ルーフィングや屋根のメンテナンスを考えているという方は、是非外壁塗装も視野に入れて検討してみてくださいね。
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屋根のルーフィング工事を依頼する前に注意したいこととは?
ここまでで、屋根のルーフィングに関する内容をお話してきました。費用や耐用年数など、知っていただくことができたかと思います。普段意識しない分、見積もりを取って初めてルーフィングという言葉を聞く方も多いため、現場ではお客様から「ルーフィングってなんですか?」とご質問いただくこともあります。もちろん納得いただくまでお話をしてからの工事とはなりますが、なかにはそうした施主の「知らない」という部分につけ込んで悪い商売をしようとたくらむ業者が存在するのも事実です。そこでここでは、屋根のルーフィング工事で失敗をしないために、屋根のルーフィング工事を依頼する前に注意していただきたいことについてまとめました。
複数社に相見積もりを依頼する
文中でも触れている部分ではありますが、ルーフィングを安いものに変えて工事の費用を安く見せている業者がいます。相場感や見積もりに異様に安い部分がないかなどを確認するのは、一社のみの見積もりでは難しい部分があります。そのため複数社、できれば2~3社を目標に相見積もりを行いましょう。相見積もりを行うことで、費用の相場観を知れるだけではなく、安すぎたり高すぎる不適切な見積もりを見抜くことができます。相見積もりの必要性や更に詳細な注意点などは、以下の記事で詳しく解説をしていますのでぜひ合わせてご覧ください。
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必ず現地調査を実施する
最近はオンラインで簡易見積もりに対応している業者も多く、忙しい方にとってはとても嬉しいサービスも多いですよね。しかし、屋根の工事を実施するにあたっては、オンライン見積もりだけでは不十分な部分も多いです。特に屋根は普段見ることがないため、劣化が進んでいたり雨漏りしていても気付かないことが多いです。そのため、オンライン見積もりだけでは業者が十分に屋根の状態を把握できず、あくまで概算での見積もりとなるため正確な費用は分かりません。劣化や雨漏りしていた場合の業者の修理内容や単価も違っているため、やはり現地調査を行ったうえで見積もりを作成してもらう必要があります。現地調査は立ち合いが必要になるため負担に感じてしまう方も多いかと思いますが、業者選びで失敗しないためにも必ず現地調査は実施するようにしましょう。
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耐用年数の長いルーフィングシートを選択する
見積もりの中で特に指定がないと、業者が勝手にルーフィングシートを選択してしまいます。もちろんきちんとした業者であれば、耐用年数や耐久性のあるしっかりとしたルーフィングシートを選択してくれるはずですが、費用を安くして契約につなげたい業者は耐用年数や耐久性の低い安いルーフィングシートを選択していることもあります。もちろん施主の予算や希望によっても違いますが、ルーフィングシートは一度施工するために既存の屋根をはがす必要があり大掛かりな工事が必要になるため、耐用年数が10年程度のものではコストパフォーマンスが低いです。可能であれば、耐用年数が20年以上のルーフィングシートを選択し、また業者にもその旨を伝えるようにしましょう。
施工実績のある業者を選ぶ
やはり大切なのは、施工実績のある業者を選ぶということです。施工実績のある業者というのは、施工数が多い分経験も多く、技術力が高い業者が多いです。屋根の工事は施工不良を起こしてしまうと、雨漏りなどで建物に大きな負担をかけてしまいます。また屋根からの雨漏りは気付くのに時間がかかることも多く、気付いた時には大きな被害に発展していることも珍しくありません。ただし初めて業者に依頼するという方は、最初は情報集めが肝心ですので、業者のホームページで施工事例などを見たり口コミサイトで業者の評判を確認しておくのもオススメです。口コミは評価に明確な基準がないことも多いため、すべてを鵜呑みにしてしまうのは危険ですが、いい点や悪い点踏まえて事前に情報を得ておくことは大切です。
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まとめ
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