屋根や外壁、屋上やバルコニー・・・家は至るところに、雨水の浸水を防ぐための工事が行われています。その中でも屋上は特に雨水を広い面積で受け止めるため、慎重な防水工事が大切となってきます。屋上と聞くとビルや大きなマンションなどにあるもの、というイメージを持たれやすいですが、住宅密集地や人口密度が高い都市部の戸建て住宅では、庭のスペースが取れない分屋上を採用するという方も増えており、屋上のある家は近年増加傾向にあります。ただし屋上もその他の場所と同様にメンテナンスが必要になるため、メンテンナンスにかかる費用や時期などもしっかりと考えておく必要があります。今回はそんな屋上の防水工事の費用相場や、依頼する前に確認しておいていただきたいことについて解説をしていきます。
屋上の防水工事の費用相場について
防水工事は、主に4種類の工事があります。以前バルコニーの防水工事の記事でご紹介させていただきましたが、この記事でも改めてそれぞれの違いと費用相場について説明をしていきます。どんな防水工事を採用するかは屋根の形、建物の構造、予算、依頼する業者などによって違ってきますが、中には既存のものと違うものにするという方もいらっしゃいます。ここでは防水工事にはどんな種類がありどんな違いがあるのか、予算はどのくらいなのかを一緒に見ていきましょう。
ウレタン防水
▶費用相場
4,000~7,000円/㎡
▶ウレタン防水とは?
ウレタン防水とはウレタン樹脂塗料を重ね塗りし、ゴム状の防水膜を作る防水方法のことです。完成後は歩くと弾力のあるゴム質な床になります。ウレタン防水工事には2種類あり、ほとんどのベランダでは「密着工法」という方法がとられますが、雨漏りをしているなどの異常がある場合は「通気緩衝工法」を使用します。密着工法は補強布+防水材といった施工を行いますが、通気緩衝工法では通気をよくするために通気緩衝シート+防水材といった施工になります。屋根やベランダの形にとらわれず仕上がりもきれいな施工方法ですが、職人の技術力に左右される工法でもあります。
FRP(繊維強化プラスティック)防水
▶費用相場
5,000~7,000円/㎡
▶FRP(繊維強化プラスティック)防水とは?
FRPは繊維強化プラスティック(Fiber Reinforceed Plastics)の略称で、新築戸建て住宅に多く使われている工法です。軽量なのに強度があるというメリットは日本の木造住宅にぴったりですが、紫外線のダメージを受けやすくメンテナンス回数が多くなりやすいというデメリットもあります。FRP防水が新築住宅に多く使われるのは、軽量でありながら強度があり住宅構造への負担がかかりにくく、木造住宅などの施工に適しているためです。また速乾性があるため他の工法と比べても施工日数が1~2日と少なく済みます。ただし紫外線に弱いため経年劣化を起こしやすいといったデメリットもあります。
シート防水
▶費用相場
4,000~7,000円/㎡
▶シート防水とは?
シート防水とは、ゴム製のシートを床面に貼り付けて仕上げる工法です。「塩ビシート防水」「塩化ビニールシート防水」「合成ゴム系シート防水工法」など様々な種類のシート防水がありますが、全てまとめて「シート防水」といいます。その場で作り上げていくウレタン防水などとは違って、シート防水は工場で作られたものをはっていく作業のため品質が安定しているという特徴があります。ただし既製品をはりつけていくため、複雑な形の屋根やベランダにはできない工法でもあります。
アスファルト防水
▶費用相場
5,000~8,000円/㎡
▶アスファルト防水とは?
アスファルト防水とは、合成繊維不織布のシートにアスファルト製の専用シートを使った防水工事のことです。アスファルト防水には工法が「トーチ工法」「常温工法(冷工法)」「熱工法」の3種類あります。使用する機材の量に金額が比例しており、安い順にトーチ工法、常温工法(冷工法)、熱工法となっております。それぞれ状況に応じて使い分けていくものですので、住宅のメンテナンスは何工法なのか見積もりを確認しましょう。
屋上の防水工事のメンテナンスは、どのタイミングがいい?
防水工事は一般的に10~15年に一度メンテナンスを行うと、状態がよく使えると言われています。住宅のメンテナンスと聞くと「使い勝手が悪くなってから行うもの」と思われがちですが、推奨されているメンテナンス期間を守ることで、住宅の寿命をより長く保つことができます。またメンテナンス期間の前でも、場合によってはもっと早い段階で修理が必要な場合があります。それでは一体どんな時に通常よりも短いスパンで修理、メンテナンスが必要となるのでしょうか? 屋上だけではなくバルコニーなどにも言えることですので、是非参考にしてみてくださいね。
天候条件の影響を受けやすい立地の場合
お住まいの地域の天候は、どのような特徴がありますか? たとえば豪雪地帯にお住まいの方、年間降水量が多い地域にお住いの方、台風が多い地域にお住いの方、塩害の受けやすい海側にお住まいの方・・・と、意外にも日本全国その地域によって天候の特色が違います。平均と比べて雪や雨などの影響を受けやすいなどといった場合、住宅の表面は常に天候の影響を受けるため通常よりも劣化スピードが早まる可能性があります。
床面に浮きやひび割れを見つけた時
床面に空気が入り込んだことによる膨らみや浮き、ひび割れを見つけた時はメンテナンスを考えましょう。床面のトップコートがはがれてきていたり、劣化による防水性能の低下によって発生してしまう症状です。放置してしまうと、浮いた部分から雨水が入り込んでしまい雨漏りの原因につながります。ひび割れも同様で、浅いものであればトップコートをやり直すだけで済むことがほとんどですが、ひび割れがトップコート下の防水層に届いてしまっている場合は雨漏りの原因になります。上から見ただけでは判断しにくいひび割れもありますので、見つけた場合はすぐにプロの業者に連絡をし、状態の確認や必要であれば修理をしてもらうようにしましょう。
コケや藻が生えているのを見つけた時
コケや藻が屋上に生えてしまっている場合、屋上の排水不良や防水性能の低下の可能性があります。特に秋~冬にかけては落ち葉が増える時期ですので、落ち葉などが屋上の排水口を塞いでしまい排水不良を起こし、そこからコケや藻が発生しやすくなってしまうといったことがあります。まずは排水口を確認し、排水口を掃除してみましょう。それでも上手く排水ができないという場合は、雨どいがつまってしまっていたり、屋上床面の防水性能が低下していることが考えられます。放置するとコケや藻が生えてしまった部分の防水機能が働かなくなり、雨漏りの原因となります。こちらも見つけた場合はすぐにプロの業者に連絡し、修理をしてもらうようにしましょう。
メンテナンスを依頼する前に、確認するべきことは?
メンテナンスが必要なサインが出ていたから、どこでもいいからとりあえず業者に連絡しよう! と考えている方、早い段階で業者に依頼することは大切なことですが、やみくもに依頼するのは危険です。近年、手抜き工事や悪質な広告などによる詐欺被害が増加傾向にあります。防水工事をやり直す、となると高額になりますので失敗はしたくないものです。最後にメンテナンスを依頼する際に、悪徳業者に騙されないために確認していただきたいポイントについてまとめていきます。必要になった際は以下の内容を思い出して、「依頼しても大丈夫な業者か?」を判断できるようにしておくと、急なメンテナンスも安心です。是非参考にしてみてくださいね。
資格を持っている業者かどうか
実は防水工事そのものの作業には、特別な資格は必要ありません。もちろん難しい工事や工具を使用して行う工事ですので、素人が簡単にできる工事ではありませんが、資格の義務がないということは「やろうと思えば誰でもできてしまう」ということでもあります。しかし防水工事が失敗してしまうと、雨漏り被害につながり建物全体に大きなダメージを与えてしまう可能性があります。信頼している工務店の紹介や知人の紹介などであれば問題はないかと思いますが、初見の業者の技術力を見抜くのは大変難しいです。そのため初めて依頼するという方であれば、依頼を検討している業者が資格を持っているか、を確認しておくと安心です。工事に関する資格はさまざまあるものの、特に「防水施工技能士」を持っている業者は信頼ができます。防水施工技能士は厚生労働省が認定する国家資格のひとつで、都道府県職業能力開発協会によって実施されている技能検定試験に合格した者が名乗ることのできる資格です。資格保持者は防水工事のスペシャリストともいえる存在で、安心して防水工事を任せることができます。
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防水工事に必要な資格とは? 業者に依頼する時に見るべきポイント
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見積もりが詳しく記載されている業者かどうか
悪徳業者による詐欺被害に遭わないために大切なのが、契約前の見積もりチェックです。「工事の見積もりなんて難しくて分からない」という方も多いかと思いますが、チェックする内容自体はそんなに難しいものではありません。見積もりの工事内容や材料単価が詳しく記載されている業者か、を意識して確認してみてください。悪徳業者による見積書は「防水工事一式」などで簡単にまとめられており、単価が分かりにくい、工事内容が分かりにくいということが多いです。一見分かりやすく簡潔な見積もりに見えますが、単価や工事内容が分からないという見積もりはよくない見積もりです。また追加工事が必要になった際に、現在行っている工事の材料費や工事内容が分からないため、不当に高い金額の請求をされても判断できないというケースが多々あります。見積もりはその業者の質を見抜くためにとても大切な判断資料のひとつとなりますので、しっかり目を通してから契約を検討するようにしましょう。
◎合わせて読みたい記事!
防水工事の見積もり、これって本当に適正価格なの? 正しい見積もりの取り方とは?
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見積もりが適正価格かどうか
依頼しようとしている工事費用が適正であるかどうか、も確認しておくようにしましょう。防水工事の適正価格といっても、ひとつの見積もりから判断するのは非常に難しい部分があります。そのため見積もりは必ず2~3社からとるようにし、工事内容以外にも全体の価格を比較検討するようにしましょう。あまりにも安すぎる、あるいは高すぎる見積もりがあった場合、複数社と検討することで気付くことができます。またそれぞれの業者の見積もりを見ることでなにが防水工事で必要な工事なのか、なんとなく理解することもできます。雨漏りなどの実害がすでに出てしまっている場合は焦ってしまう気持ちもよく分かりますが、悪徳業者に騙されないためにもしっかりと相見積もりをし、見積もりを見比べるようにしましょう。
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まとめ
イーライフでは経験豊富なアドバイザーが、専門的なこともわかりやすくご説明します。パックプランをご用意しているので、追加料金が発生する心配もありません。もし他社の見積もりがあればご持参ください。当社との見積もりの見比べやご相談にも対応可能ですので、是非お気軽にご連絡ください。