雨樋はこれまで「外壁に出てくる邪魔になるもの」と思われがちで、なるべく雨樋を目立たなくさせるための塗装が行われるのが一般的でした。しかし近年は、雨樋の色をアクセントカラーとして利用した外観デザインが人気で、外壁塗装の際に雨樋の塗装も一緒に行う方が増えています。では、雨樋をお洒落にするための塗装や配色のコツには、いったいどのようなものがあるのでしょうか。今回は、雨樋の基本的な役割を解説しつつ、塗装で雨樋をお洒落に魅せるコツについてご紹介していきます。
雨樋の役割とは?

雨樋の役割について、みなさんはご存じでしょうか。普段意識することがないものですが、建物の安全を守るためには雨樋はとても大切です。また雨樋は塗装で見栄えをよくするだけではなく、定期的にメンテナンスをする必要があるため、ここではまずは雨樋の役割について学んでいきましょう。
雨水が建物に侵入するのを防ぐ
雨樋は、雨水が建物に侵入するのを防ぐ役割があります。雨樋があることで、雨水が排水ルートを確保することができ、雨樋に沿って雨水が排水されていきます。しかし雨樋が上手く機能していない場合、屋根や外壁を沿って窓枠や劣化部分などから建物内に雨水が入り込んでしまったり、雨水が建物の凹んでいる部分などに溜まってしまう原因になります。
地盤の侵食や沈下を防ぐ
雨樋が機能していない場合、雨水が外壁を伝ってそのまま地盤面に落ちていきます。一見問題ないようにも思えますが、雨水が直接外壁に流れ込む状態を放置していると、住宅周辺の地盤の浸食や沈下につながってしまうのです。外壁を伝う雨水は一定の場所に雨水が常に流れ込むことになるため、地盤を傷めてしまうのです。雨樋があることによって、雨水の排水ルートを確保して適切な場所に排水することができるため、地盤の侵食や沈下を防ぐことができます。
建物にかかった雨水を集める
雨樋は雨水の排水ルートを確保するだけではなく、設計上雨水が雨樋に自然に集まるような傾斜をつけているため、建物にかかった雨水を集める役割もあります。雨樋があることで雨の際にも、屋根やベランダから落ちる雨の量は最小限にすることができ、雨樋は雨水を集めながら適切な場所に排水を促してくれます。先ほど例にあげたような地盤の浸食や沈下を防ぐことはもちろん、バルコニーや庭などへの負担も押さえることができます。
雨音や跳ね返りによる生活環境への悪影響を防ぐ
雨樋が設置されていない住宅では、屋根から落ちた雨水が地面に直接叩きつけられるため、大きな雨音が発生します。特に深夜や早朝などの静かな時間帯にはその音が響きやすく、家の中にいても不快に感じることがあります。また、地面に跳ね返った水しぶきが外壁や窓ガラスを汚したり、窓を開けていた場合には室内にまで水が入り込んでしまうこともあります。こうした雨によるストレスは、日常生活の快適性を損なう大きな原因です。雨樋を設けることで、雨水の流れをコントロールし、雨音の発生や水はねによる二次被害を抑えることができ、静かで快適な住環境を保つことにつながります。
美観の維持
建物の外観は、日々の雨風や日差しにさらされることで少しずつ劣化していきますが、雨樋が設置されていないとそのスピードはさらに加速します。屋根から落ちた雨水が直接外壁を伝って流れると、雨染みや黒ずみが目立つようになり、時間が経つと苔やカビが発生してしまうこともあります。こうした汚れは、見た目の印象を大きく損なうだけでなく、放置すれば外壁材そのものの劣化も招きかねません。美観を保つためには、雨水を的確に排水するシステムが必要不可欠です。雨樋が正常に機能していれば、外壁に余分な水分が触れるのを防ぎ、長期間にわたって建物の清潔感と美しさを保つことができます。結果として、メンテナンスの手間や費用も軽減され、資産価値の維持にもつながります。
雨樋の塗装を行うメリットは?

屋根塗装や外壁塗装は、住宅のメンテナンスでも雨漏り予防や劣化防止の役割があるため、とても重要です。一方で雨樋の塗装は必須なわけではありません。また雨樋のトラブルは塗装で改善することができないため、雨樋のトラブルが発生したら雨樋の修理もしくは交換作業が必要となります。ここまでの話を聞くと「雨樋を塗装するのは無駄ではないのか?」と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、雨樋の塗装にはきちんとメリット面もあります。そこでここでは、雨樋の塗装をするメリットについてもお話をしていきます。
耐久性が保たれる
雨樋の塗装をするメリットは、雨樋の表面をサビや剥がれなどの劣化から守ることができ、耐久性を保つことができるという点です。雨樋の塗装自体は必須ではありませんが、外壁のメンテナンスなどと一緒に塗装をしておくことで、雨樋の破損や雨漏り被害から住宅を守ることができます。
美観を維持できる
雨樋の塗装のメンテナンスを行っていると、艶感を維持したり色あせを修復できるため、住宅全体の美観を保つことができます。特に外壁塗装のメンテナンス後でよくある失敗が、「雨樋がそのままだから浮いて見えてしまう」というものです。外壁をきれいにメンテナンスしても、雨樋の塗装が古くなっていることで、雨樋が浮いて見えてしまったり古い印象を与えてしまうことがあります。住宅の外観をきれいにしたい、美観を維持したいという方は、雨樋の塗装も一緒に行うのがオススメです。
サビの進行や腐食を予防できる
金属製の雨樋は、長年雨風や湿気にさらされることで徐々にサビが発生し、やがて腐食して穴が空いたり、破損したりすることがあります。とくに塩害を受けやすい沿岸地域や、降雨量の多いエリアでは、サビの進行が早まりやすく、数年で交換が必要になるケースも珍しくありません。こうした劣化を未然に防ぐ手段として有効なのが塗装です。防錆効果のある塗料を使用すれば、金属表面に保護膜を形成でき、サビの発生を抑えることが可能になります。また、すでに軽度のサビが出ている場合でも、ケレン作業(研磨)をしてから塗装することで進行を止められる場合もあります。早めに塗装しておけば、将来的な大がかりな補修や交換工事を避けることができるため、結果的にメンテナンス費用の削減にもつながります。
紫外線からのダメージを軽減する
雨樋は雨だけでなく、日々の強い紫外線にもさらされています。とくに樹脂製の雨樋は紫外線に弱く、長時間日光を浴び続けることで素材が硬化し、次第に弾力性を失ってしまいます。その結果、衝撃に弱くなり、ちょっとした力で割れたり、落雪の重みに耐えきれず破損するリスクも高まります。塗装は、こうした紫外線のダメージを抑えるために非常に効果的な手段です。紫外線カット効果のある塗料を使用すれば、表面の劣化を大幅に遅らせることができ、素材本来の柔軟性や機能を長期間維持することができます。また、塗装には色あせ防止の効果もあるため、見た目の劣化も防げます。定期的に塗装を行うことで、雨樋を常に良好な状態で使い続けられる環境を整えることができ、建物全体の耐久性向上にも寄与します。
雨水の流れをスムーズに保てる
雨樋の塗装には、単に見た目をきれいに保つだけでなく、雨水の排水機能を維持するという実用的な効果もあります。たとえば、塗膜が剥がれてサビが浮いている状態では、表面に凹凸が生まれ、水がスムーズに流れずに停滞したり、ゴミが引っかかって詰まりやすくなることがあります。これが原因でオーバーフローや水漏れが発生すると、外壁や基礎に水が染み込み、家の構造に悪影響を与えることもあります。塗装によって雨樋の内外を滑らかに保つことで、雨水がスムーズに流れ、ゴミもたまりにくくなります。さらに、防汚性や防カビ性を持つ塗料を使えば、表面の清潔さを長期間維持でき、掃除の手間を大幅に減らすことも可能です。結果として、雨樋が本来持っている排水機能を最大限に活かすことができるのです。
交換工事よりもコストを抑えられる
雨樋が劣化していると、すぐに「交換」を考える人も多いですが、実際には塗装によって再生できるケースが非常に多く、費用面でも大きなメリットがあります。新品への交換となると、材料費はもちろん、取り付け作業や足場代などがかかり、特に2階建て以上の住宅では数十万円の出費になることも。一方、塗装であれば既存の雨樋をそのまま活かしながら補修ができるため、コストは比較的抑えられます。さらに、外壁塗装と同時に雨樋塗装を行えば、足場を共用できるため、トータルの工事費も節約可能です。また、雨樋の状態を把握したうえで適切な塗装を行えば、交換せずとも10年以上機能を保てることもあります。家の美観と機能性を維持しながら、賢くメンテナンスしたい方には塗装がおすすめの選択肢です。
雨樋のメンテナンス費用を最小限にできる
「定期的に雨樋の塗装をしている方がメンテナンス費用が掛かるのではないか」と思われた方も多いかと思いますが、実際には定期的に雨樋の塗装を行うことで、雨樋の劣化を遅らせて寿命を長くすることが可能です。雨樋の寿命が長くなるということは、雨樋の劣化に伴う交換費用などが減り、トータルで見た修理・交換の回数を減らすことができます。雨樋の劣化を遅らせる塗装を定期的にしていくことで、出費を減らすことができるのです。
塗装で雨樋をお洒落に魅せるコツとは?

雨樋の塗装を行うメリットを知っていただくことができたところで、さっそく本題の塗装で雨樋をお洒落に魅せるコツについて、ご紹介していこうと思います。せっかくお金をかけて雨樋の塗装を行うわけですから、やはりお洒落に仕上げたいですよね。雨樋は隠すだけではもったいないです。せっかくなら外観の一部のデザインとして楽しむのもオススメです。雨樋の色選びや配色にお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
派手な色で個性を出す
雨樋は目立たないような配色を勧められがちですが、逆に派手な色にすることで外観に個性やメリハリをだすことができます。例えば外壁が黒色で統一されているような外観だと、同系色の目立たない黒色の雨樋を選ぶのが一般的ですよね。しかしここで、あえて赤色や黄色などの派手な色を選ぶことで、外壁に個性を出すことができます。また雨樋の色をアクセントカラーとして使うことで、外壁が単調になるのを防ぎメリハリを出すことも可能です。もちろん外壁に溶け込む雨樋の色も素敵ですが、単調なデザインに飽きてしまった方や個性を出したい方などには、あえて派手な色の雨樋にする手法もオススメですよ。
外壁の色とワントーン違いをつける
派手過ぎる雨樋は苦手だけど外壁にメリハリを出したい、控えめにイメージを変えたい、という方にオススメなのが外壁の色とワントーン違いをつける色の選び方です。例えば外壁が黒色の場合は、ワントーン下げた灰色に近い色味を選ぶことで、同系色にまとめつつ雨樋の色に変化をつけることで控えめなメリハリをつけることができます。同系色でまとめることで外壁のイメージ全体を崩すこともなく統一感もでるため、オススメです。
屋根や軒天と同じ色にする
屋根や軒天と雨樋を同じ色にすることで、ぼやけがちな外壁のラインがハッキリします。また外壁を縁取るような雨樋の配色が、単調になりやすい外壁にメリハリをつけてくれます。特に淡い色の外壁にしている方は、外壁や軒天と同じ色にすることで、外壁のラインがより明確になります。淡い色の外壁にメリハリをつけたい方や、淡い色の外壁に挑戦したいけれど外観がぼやけてしまうのが嫌だという方は、雨樋を屋根や軒天と同じ色にするとお洒落にまとまりますよ。
雨樋の塗装で注意するべきこととは?

雨樋の塗装をお洒落にする配色について解説をしてきましたが、塗装は自分の住宅の外壁デザインに合うかどうかを慎重に見極める必要があり、また失敗しないためにはいくつか注意しなければいけないことがあります。そこで最後に、雨樋の塗装で失敗しないために、雨樋の塗装で注意するべきことについて詳しく解説をしていきます。
劣化状況に応じた処置がされているか確認する
雨樋の塗装をする前に最も重要なのが、現在の劣化状況をしっかり確認し、それに応じた処置が行われているかどうかです。たとえば、塗膜の剥がれやサビ、ジョイント部分のズレ、ビスのゆるみなどが見られる場合、それらを無視して塗装をしてしまうと、見た目はきれいでもすぐに不具合が再発する恐れがあります。特に金属製の雨樋では、サビをケレン(研磨)で丁寧に落とさなければ塗料が定着せず、耐久性の低い仕上がりになってしまいます。また、塩ビ製の雨樋でも、ひび割れや変形がある場合は補修を先に行う必要があります。塗装前にきちんとした点検・処置がされているか、施工業者に確認し、工程が明確に説明されているかどうかも安心の目安となります。
塗装が本当に必要か確認してもらう
すべての雨樋に塗装が必要なわけではありません。近年の塩ビ製雨樋の中には、あらかじめ着色・UV加工が施されており、特別な塗装を行わなくても長く使用できる製品もあります。むしろ、そうした素材に無理やり塗装をすると、かえって塗膜が剥がれて見た目が悪くなることも。塗装のタイミングや必要性は、素材の種類や設置環境によって大きく異なります。そのため、まずは専門業者に状態をチェックしてもらい、塗装が本当に必要かどうかを正確に判断してもらうことが大切です。安易に工事を進めるのではなく、素材や劣化具合に応じて最善のメンテナンス方法を選ぶことが、雨樋を長く保つコツでもあります。
できれば外壁塗装と同時に行う
雨樋の塗装を検討しているなら、外壁塗装と同時に行うのが非常に効率的です。その最大の理由は、足場を共用できるため、設置や解体のコストが1回分で済む点にあります。別々に工事を行えば足場代が二重にかかり、結果的に費用がかさんでしまうことになります。また、外壁と雨樋を一緒に塗装すれば、色味の統一感も出しやすく、建物全体の仕上がりにまとまりが出ます。実際、外壁だけ新しくなって雨樋が古いままだと、かえって経年劣化が目立ってしまうケースもあるため、セットでの施工が理想的です。予算や時期の都合もあると思いますが、見積もりを取る際に「雨樋の塗装も一緒にできるか」を確認しておくと、より賢くメンテナンスが進められるでしょう。
外観のデザインに合っているか
住宅の外観のデザインを決める時には、ある程度テイストを揃えて色味や外壁材を決めた方が多いかと思います。例えば和風テイストや北欧テイストなど、外観のデザインを統一するためにひとつのテイストを決めているかと思います。特にテイストなどを意識しなかったという方も、シンプル系の外観なのかツートンカラーや素材を使用したアクセントのある外観なのかなど、それぞれに違いがあるかと思います。そのため、配色の例だけを参考にしてしまうと、既存デザインとのミスマッチが起きてしまう可能性があります。雨樋だけ浮いてしまうなんてこともあり得ます。そのため、外観全体のデザインやテイストを見て、雨樋の色を決めるようにしましょう。イメージを大きく変えたい場合は、外壁材の交換や再塗装、雨樋や建具のサッシ、軒天の交換などが必要になることもあります。
塗料の色がイメージ通りか
屋根塗装や外壁塗装でも注意点としてあがるのが、塗料の色がイメージしているものと合っているかどうかです。というのも、塗料の色を決める際に見るカラーサンプル表の色だけで決めてしまうと、実際に施工した際に施工面積が大きいことから目の錯覚や光の反射で、カラーサンプルの色と違って見えることがあるのです。この現象は、塗装面積が大きい屋根や外壁でよく起きる失敗例ですが、雨樋も例外ではありません。雨樋も施工面積が広いため、カラーサンプルだけで決めてしまうのではなく、業者の意見を聞いて見たり、イメージしている実際の施工写真を業者に見せて色を選んでもらうなどすると失敗を防ぐことができます。
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外壁塗装をイメージ通りに仕上げるためのコツ! 依頼する際に気を付けたいこととは?
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まとめ
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