瓦屋根は日本で最親しみがある屋根材ですよね。近年では日本の和風デザインが「禅」と呼ばれ、海外でも注目を集めています。和風デザインに近づけるために国内外でも瓦屋根は人気があります。また、瓦屋根は耐久性が高く半永久的に交換が必要のない屋根としても知られているため、屋根材としてとても高い評価を受けているのです。しかし一方で、瓦屋根は重さがあるため「地震の際は瓦屋根が落ちる可能性がある」「瓦の重さで建物に負荷をかけている」などと言われることもあり、瓦屋根を検討している方のなかには不安に感じている方もいらっしゃるかと思います。そこで今回は、瓦屋根は地震の時に本当に落ちる可能性があるのかや、その他瓦屋根の気になる疑問を解決していきます。
瓦屋根の昔と今
瓦屋根はイメージする形がみなさん同じような形かと思いますが、実は昔と今では作り方から工法まで違っています。大きな地震災害による影響で瓦屋根の在り方が見直されたという背景もあり、今現在も瓦屋根の改良は進んでいます。そのため、同じ瓦屋根でも昔と今では大きく違っているということになります。瓦屋根にどのような問題点があって、今に至るまでにどのように改善されてきたのか一緒に見ていきましょう。
瓦屋根の作り方
瓦屋根が戸建て住宅の主流だった頃は、職人が手作業でひとつひとつ瓦を仕上げていました。もちろん熟練した職人が瓦を作成していくわけですが、やはり人間の手で一枚一枚作りあげていくため、でわずかな歪みや大きさの違いなどが生じます。焼き加減などもすべて均一にするのは難しく、ムラがでてしまうこともありました。そうしたわずかな違いや手作りならではの風合いも含めて美しい瓦屋根ですが、品質の安定性という面では手作業では限界があったのも事実です。現在では、多くの瓦屋根は工場で大量生産されており、機械や進んだAI技術により形から色加減まで管理されています。そのため品質が安定しており、形に歪みや焼きムラなどもなく、すべて均一な瓦を作ることができるようになりました。手作業ならではの瓦屋根のよさもありますが、品質の安定性という意味では現在の瓦屋根は大きく向上していますね。
瓦屋根の施工方法
昔と今で違う部分はもうひとつあります。それが、瓦屋根の施工方法です。瓦屋根が主流であった頃は、土葺き工法やと呼ばれる工法で瓦屋根を施工していました。土葺きとは、屋根全体もしくは部分的に土を敷いて、その上に瓦屋根を重ねていく工法のことです。土と瓦の密接により瓦屋根を支えている形状ですが、瓦屋根自体はどこかに固定されているわけではないため、実はこの工法は地震時には瓦が落ちるため危険が伴います。当時は地震対策としてあえて瓦を固定せず、地震の際に瓦を落とすことで建物への負荷を軽減していたと言われていたため、瓦屋根の固定をあえてしっかりしないこうした工法が主流でした。現在では、瓦屋根の軽量化なども進んだことから、瓦屋根をしっかりと固定する引掛け葺き工法という方法がとられています。そのため屋根の下地として土を使うことがなくなり、地震の際も瓦が下に落ちて二次被害につながるリスクを防ぐことができます。
地震に強い「防災瓦」という瓦屋根もある!
瓦屋根がどのように進化してきたのか、知っていただくことができたかと思います。また同時に、昔と比べて瓦屋根の軽量化や施工方法の変化により、瓦屋根の住宅でも地震に必要以上におびえる必要がないということも知っていただけたのではないでしょうか。しかしやはり、他の屋根材と比べると、瓦屋根は耐久性が高いメリットがあるとはいえ重さがあり、地震の時に瓦屋根が原因となる被害が発生しないか不安だという方もいらっしゃるかと思います。そこでここでは、地震に強い瓦として近年注目を集めている「防災瓦」の特徴についてもご紹介をしていきます。
落下しにくい
瓦屋根の施工方法として現在一般的に用いられる引掛け葺き工法ですが、この工法は下地の一部である部材に瓦屋根を重ねて釘で打ち込み、落下を防ぐという方法です。防災瓦の場合は、さらに強力な落下防止措置が取られており、具体的な方法としては瓦同士の固定です。部材と瓦だけではなく、瓦と瓦同士も固定するため、特に瓦が飛ばされやすい地震の際の横揺れにも対応できるようになりました。
瓦が軽い
防災瓦は、1㎡あたりにかかる重さが40kgを切る軽さのため、建物全体で考えた時に屋根の軽量化を行うことができます。軽量化されている割合は、普通の瓦と比べて10%~30%と言われており、一般的な瓦でも1㎡あたり40kg以上になります。こうして一般的な瓦と比べることで、防災瓦がいかに軽いか分かりますよね。屋根の軽量化を行うことで地震時にかかる建物の上からの負荷を軽減し、建物が屋根から潰れてしまうといったリスクを減らすことができるようになります。
防水性能が高い
防災瓦は地震だけに特化しているように思われがちですが、その他の災害に対する耐性もあります。具体的には、防災瓦は高い防水性能があります。一般的な引掛け葺き工法と比べて、防災瓦は瓦同士の固定がしっかりと行われているため、雨水が入り込みにくい設計になっているのです。そのため、防災瓦を投入することで通常の瓦屋根よりも防水性能を高め、雨漏りの発生予防に貢献してくれます。
瓦屋根を住宅に取り入れる前に知っておくべきこととは?
瓦屋根や防災瓦について、知っていただくことができたかと思います。地震のことを考えると防災瓦という選択肢もいいかもしれませんね。また今回の記事を見て、既存の屋根を取り除いて瓦屋根にリフォームしたいという方もいらっしゃるかと思います。しかし瓦屋根は「見た目がいいから」「和風にしたいから」という理由だけで安易に選んでしまうのは少し危険です。最後に、瓦屋根を検討している方に向けて、瓦屋根を住宅に取り入れる前に知っておいていただきたいことをお話して終わります。
軽量瓦や防災瓦は初期費用が高い
記事の中でもご紹介した防災瓦や、軽量に特化した軽量瓦を扱う場合は、通常の瓦と比べて単価が高くなるため全体の施工費用が高くなります。一方で耐久性が高いため費用が高くても、メンテナンスにかかる費用を抑えることができるという点では、コストパフォーマンスは決して悪くないです。初期費用でどの程度の予算があるのか、またメンテナンスを踏まえた支払い計画を立てていくことが大切ですので、慎重に予算設定や瓦の選択を行うようにしましょう。
軽量化のみを目的としている屋根材ではない
今の瓦は従来の瓦と比べて軽量化されているものの、やはり金属系屋根材などと比較すると重さはある屋根材です。そのため、地震対策として屋根の軽量化を目指している方には、瓦屋根全体が必ずしもオススメできるとは限りません。瓦屋根以外の屋根材と比較検討をして決めるようにしましょう。
施工できる業者が限られている
瓦屋根は他の屋根材と比べて施工技術が必要になるため、屋根専門の業者であっても取り扱わない業者もいます。地域の屋根工事業者を調べて、かつ瓦屋根の知識や施工経験が豊富な業者をきちんと見極めることが大切です。瓦屋根の施工不良は、災害時に大きなリスクになります。また普段も雨漏りの原因につながることがあるため、事前に施工可能な業者かどうかを下調べしておく必要があります。
メンテナンスフリーではない
瓦屋根は住宅の寿命を考えると半永久的な耐久性があることから「メンテナンスフリーの屋根材」として紹介されることが多いですが、実際にはメンテナンスは必要です。他の屋根材と比べて、確かにメンテナンスにかかる手間は少ないですが、他の屋根材と同様に雨漏りなどのリスクは当然ついてきます。そのため年に一度程度の定期点検を続けていく必要はあり、状況に応じて早めの修理を行うこともあります。雨漏りや劣化などのトラブルは発生する前に防ぐことが、何より一番大切ですので、瓦屋根の点検やメンテナンスもしっかり行うことが大切です。
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屋根の点検費用はどのくらい? 点検が必要な理由ってなに?
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まとめ
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