外壁塗装には艶に関する仕上げがあり、艶ありや艶消し、またはその艶の度合いを選ぶことができます。そのため、外壁塗装の仕上げの艶をどうするか悩まれる方がとても多いです。特に外壁を黒にした方は、全体的な雰囲気から艶消しを選ばれる方が多い傾向にありますが、仕上がりだけで艶を選んでしまうとその後のお手入れが大変になってしまうこともあるため注意しなければいけません。そこで今回は、外壁塗装で黒を選択した場合で、艶消しを行うとどのようなリスクがあるのか、また黒の外壁の艶仕上げの選び方についても詳しく解説をしていきます。
外壁の艶仕上げとは?
外壁に艶仕上げがあるということを、初めて知ったという方も多いかと思います。新築の際に外壁塗装をしていれば、おそらく艶についても選択をしているかと思いますが、なかには工務店や設計士にお任せにしてしまっているという方もいらっしゃいます。そのため、メンテナンスのタイミングで初めて艶の存在をするという方も実は少なくありません。そこで今回は、一般的に使用されている艶の割合とその仕上がりについて、それぞれ区分けして分かりやすくお話をしていきます。艶について知識がないという方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
艶消し(艶なし)
メーカーによっては「艶消し」や「艶なし」など異なる呼び方をする場合がありますが、仕上がりはほぼ同じと考えていただいて構いません。艶消しとは文字通り、表面に艶がなく、マットな質感が特徴の仕上げです。艶のある仕上がりは、光の反射具合によって印象が変わりますが、艶消し仕上げでは光が外壁で拡散されるため、実際に光が反射していても、目には艶がないように映るように加工されています。
3分艶
3分艶は、艶のある仕上げの中でも最も控えめで、艶消しに近い仕上がりを持つのが特徴です。艶の程度は光沢度と呼ばれる光の反射率で測定され、3分艶は光沢度100の基準のうちおよそ15程度に該当します。厳密な基準はないものの、一般的には光沢度が10%から25%の範囲が3分艶に分類されます。艶が強いほど外壁の表面が滑らかになり汚れが付きにくくなるため、3分艶は落ち着いたマットな質感を保ちながら、他の艶仕上げよりは劣るものの、一定の汚れ落とし効果を備えています。
5分艶(半艶)
5分艶は「半艶」とも呼ばれ、艶消しと艶ありの中間に位置する仕上がりです。程よい艶感が落ち着きを演出し、上品で洗練された印象を与えます。光沢度はおおよそ35とされ、艶が強すぎず、他の外壁材や装飾とも自然に調和するのが特徴です。一般的に5分艶の範囲は光沢度が25%から50%に分類されます。
7分艶
7分艶は光沢度がおおよそ60で、5分艶と比べると艶がしっかりと感じられる仕上がりです。この艶感により、汚れが付きにくく、耐候性にも優れているため、外壁を美しい状態で長く保ちたい方に選ばれることが多いです。一般的に7分艶は光沢度が50%から70%の範囲に分類されます。控えめな光沢度の7分艶は上品な印象を与え、高い光沢度のものは鮮明な艶が出て、さらに汚れに強い特徴を持ちます。
艶あり
艶ありは、一般的に光沢度が70以上のものが該当します。艶消しと比較すると、その光沢の高さは明らかで、外壁が光を多く反射するため、見た目にも明るく華やかな印象を与えます。また、耐候性が最も優れている仕上げとされ、汚れが気になる方に特に人気があります。艶あり仕上げは、長期間にわたり美しい外観を保ちたい方に適した選択肢と言えるでしょう。
黒の外壁に艶消し仕上げをするメリットとは?
外壁塗装の艶仕上げには、さまざまな段簡に分かれた艶加工があると知っていただくことができたかと思います。そのなかでも、艶消しは艶をあえて消した加工となるため、黒い外壁には相性がいいと一定数の人気があります。もちろん、艶消しがダメなわけではなく、メリットもたくさんあります。そこでまずは、黒の外壁に艶消しをすることでどんなメリットがあるのかを一緒に見ていきましょう。
高級感と落ち着きのある外観にできる
艶消し仕上げは光を反射しにくい特性があり、黒の外壁の持つ深みや重厚感を際立たせます。その結果、派手すぎず落ち着きのある上品な雰囲気を演出できます。特に、和風建築やモダンスタイルの住宅には相性が良く、他の建材や周囲の景観とも調和しやすい点が魅力です。例えば高級旅館や高級住宅で黒の外壁にする場合は、高級感や重厚感を演出するためにあえて艶消し仕上げにすることが多いです。
黒色に対して柔らかな視覚効果がある
艶消し仕上げは、光を拡散させることで、目に優しい柔らかな印象を与えます。特に住宅街や自然環境が多いエリアでは、周囲の景観を損なうことなく調和するデザインが可能です。また、黒特有の重たい印象を和らげる効果もあります。外壁塗装を行う際は周辺住宅に与える影響も併せて検討しなければいけませんが、周辺の住宅が淡い色の住宅だと黒を選びにくいなんて方も多いです。そんな方でも艶消しを行うことで、黒色の印象を少しでも和らげ地域に溶け込みやすくすることができるのです。
傷や汚れが目立ちにくい
艶がある外壁と比較して、艶消し仕上げは細かい汚れや傷が目立ちにくいという実用的なメリットがあります。黒い外壁は汚れが気になりやすいですが、艶消し加工を施すことで、日常的なメンテナンスの負担を軽減できます。特に雨垂れや埃が付着しやすい場所では、この効果が大きく感じられるでしょう。
反射光による不快感の軽減
艶消し仕上げは光の反射を抑えるため、日中の太陽光や夜間の街灯の光が目に刺さるようなまぶしさを軽減します。近隣住民への配慮としても有効で、特に光沢の強い外壁が好まれない地域では、大きなアドバンテージとなります。
デザインの自由度
黒の艶消し仕上げは、スタイリッシュでありながら控えめな印象を与えるため、他のカラーや素材と組み合わせやすい点もポイントです。例えば、木材や石材との相性が良く、アクセントを加えることで建物全体のデザイン性を高めることができます。また、艶消し仕上げはトレンドにも左右されにくく、長年にわたって飽きのこないデザインが実現します。
黒の外壁に艶消し仕上げをするデメリットとは?
黒の外壁に艶消しをするメリットについて、一緒に確認してきましたね。具体的に「こうしたい!」といった要望がある方にとっては、黒の外壁に艶消し仕上げをすることで、理想的な仕上がりになることが多いです。しかし注意したいのが、なんとなく黒だからと艶消し仕上げにしてしまうことです。明確な目的がなく艶消しにしてしまうと、理想と違った部分が見えてきてしまったり、お手入れに苦戦してしまうなんてこともあります。そこでここでは、黒の外壁に艶消し仕上げをするデメリットについても触れていきます。
汚れが目立つ可能性がある
艶消し仕上げは傷や細かい汚れが目立ちにくい一方で、白っぽい汚れや水垢が付着すると目立ちやすいという特性があります。特に黒は色自体が汚れを吸収しやすいため、定期的な清掃が必要です。特に雨風にさらされる部分や、埃や花粉が溜まりやすい箇所ではメンテナンスの手間が増える可能性があります。定期的な外壁掃除が難しい方にとっては、外壁の汚れの目立ちやすさは気になる部分かもしれません。
退色しやすい
黒は紫外線の影響を受けやすい色であるため、長期間外壁に使うと退色が進みやすいというデメリットがあります。艶消し仕上げは光を反射しない分、紫外線のダメージを吸収しやすく、他の仕上げよりも色あせが目立ちやすくなる可能性があります。特に日差しが強い地域では注意が必要です。
高温になりやすい
黒は熱を吸収しやすい色であるため、夏場の直射日光が当たると外壁の表面温度が非常に高くなることがあります。艶消し仕上げは光を反射しない特性があるため、艶あり仕上げに比べてさらに温度が上がりやすく、建物内の温度管理にも影響を与える場合があります。この点は特に断熱材の性能と併せて検討する必要があります。
汚れ落としの難しさ
艶消し仕上げは表面がざらついている場合が多いため、汚れが付着すると艶あり仕上げよりも落としにくいことがあります。掃除の際に特別なクリーナーや高圧洗浄機を使用する必要が生じる場合があり、メンテナンスコストが高くなる可能性があります。
見た目の劣化が分かりやすい
艶消し仕上げは光沢がないため、外壁の細かな凹凸や劣化が目立ちやすいという側面があります。ひび割れや欠けた部分が発生した際には、艶あり仕上げよりも補修箇所が目立ちやすくなるため、細かいメンテナンスが必要になることもあります。
選択肢の制限
艶消し仕上げは非常に人気がありますが、メーカーや塗料によって選べる仕上げの種類やカラーバリエーションが限られている場合があります。希望するデザインが見つからないことや、特定の艶消し塗料が他の塗料よりも高価になるケースも考えられます。
黒の外壁に艶消し仕上げをする際の注意点とは?
黒の外壁に艶消し仕上げをするのは、メリットだけではなくデメリットもあるということを、知っていただくことができたかと思います。デメリットがあることを知ったうえで、「それでも黒い外壁に艶消し仕上げをしたい」と考えている方もいらっしゃるかと思います。そこで最後に、黒の外壁に艶消し仕上げをする際の注意点についてお話をして終わります。
定期的なメンテナンス計画を立てて実施する
黒の外壁は、特に艶消し仕上げでは水垢や埃などの汚れが目立ちやすい特徴があります。雨だれや白い粉状の汚れ(チョーキング現象)が発生した場合は、見た目を損なうことがあります。そのため、定期的な清掃や外壁洗浄を計画することが重要です。特に湿気が多い地域や砂埃が舞いやすい環境では注意が必要です。頻度は年に1回程度しっかりとプロの手で清掃を行っていくことで、汚れの目立ちはあまり気になりませんが、幹線道路の近くや沿岸部など環境的に汚れがつきやすい場所に住宅がある場合は、1年よりも短いスパンで外壁のお手入れを行っておくと安心です。
塗装の種類を慎重に選ぶ
外壁塗装の塗料には、グレードや機能性に応じてさまざまな種類に分類されています。特に艶なしの仕上げをする場合は、外壁に汚れがつきやすくなるため、できれば高性能のセルフ洗浄機能が備わっているような塗料を選ぶと、外壁の汚れがつきにくくなります。また外壁の塗料にはグレードによって耐用年数も違いがでてきますので、より長持ちさせたい場合はハイグレードの塗料を選ぶようにしましょう。ハイグレードの塗料を選ぶことで、塗料そのものの寿命が長くなり、外壁をよりきれいに維持できるようになります。
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まとめ
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