長期優良住宅化リフォーム推進事業とは、建物の老朽化や劣化を防ぐために住宅のリフォーム・改修を支援し、より長期間にわたって快適な住環境を維持できるようにするための取り組みのことを指します。そのため、新築だけではなくこれから購入する予定の中古住宅にも適応となります。「名前は聞いたことある」「なんとなくメリットがあるのかなという認識」という方は多いかと思いますが、これから住宅を購入予定の方はきちんと内容を理解しておくことで、さまざまなメリットを受けることが可能です。今回はそんな長期優良住宅化リフォーム推進事業について、適応されることでどんなメリットがあるのか、また具体的な申請方法について解説をしていきます。
長期優良住宅化リフォーム推進事業の目的とは?
冒頭で既に少し触れている部分がありますが、ここからは長期優良住宅化リフォーム推進事業について、その目的と内容を詳しく解説をしていきます。気になっているけれど詳しくは知らない、という方はまずはこちらからご覧になり、長期優良住宅化リフォームについて一緒に学んでいきましょう。また2023年度の長期優良化住宅リフォーム推進事業においては、最新情報を以下の国土交通省のHPから確認することが可能です。
◎引用:国土交通省㏋
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/shienjigyo_r5-11.html
長期優良住宅に認定されるため
まずひとつの目的としては、長期優良住宅化リフォーム工事は、長期優良住宅(認定長期優良住宅)に認定を受けるための工事です。長期優良住宅は、環境に配慮し長期間快適な住環境を維持できる設計の住宅に適応されます。新築段階で長期優良住宅の認定を受けるための設計を依頼する方はもちろん、中古住宅購入時や現在住んでいる住宅のリフォームにおいて長期優良住宅化をすることも可能です。
既存住宅の保存や長寿命化のため
長期優良住宅化リフォーム推進事業を行うのは、既存住宅をより良い状態で保存し、寿命を伸ばす目的もあります。寿命を伸ばすということは、耐震性や耐候性の面でも優れている必要があり、その住宅に住む人にとっても住みやすい環境を目指します。
空き家問題改善や地域活性化のため
長期優良住宅化リフォーム推進事業を拡大させることで、各地域で深刻化している空き家問題を改善する狙いもあります。リフォーム費用を支援することにより、老朽化した空き家をリフォームして、耐久性やエネルギー効率を向上させ、長期間にわたって住宅として利用できるようにします。これにより増加する空き家を減らすことができるといった仕組みです。また一部の地域では、子育て世帯や同居世代が長期優良住宅化リフォームを行う際に支援措置が設けられています。これにより子育て世帯を応援し、人口流失を防ぎ地域の活性化を図る目的もあります。
長期優良住宅化リフォーム推進事業のメリットは?
長期優良住宅化リフォームは、地域や住む人のために大きな目的があることが分かりましたね。では、実際に自分の住む家を長期優良住宅化リフォームするとして、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。受けることのできるメリットをしっかりと理解しておくことで、リフォーム工事を実施するかの判断を適切にすることができますので、まずはメリットについて一緒に見ていきましょう。
さまざまな控除を受けることができる
長期優良住宅化リフォーム推進事業は、国が推進しているリフォーム工事です。そのため実施した施主は、さまざまな面で控除を受けることができます。リフォームの内容などによりますが、受けることができる控除例としては住宅ローンや不動産所得税、各登録免許税などです。これらはそれぞれ控除を受けることができる上限額や割合が決まってはいますが、何もしていない一般住宅と比べると節税面で有利であることが分かります。不動産を取得するにあたって節税したいという方にとっては、長期優良住宅化リフォームを行うのは検討すべき選択肢のひとつでもありますね。
補助金や助成金、住宅エコポイント制度の対象になる
地域によって異なることがありますが、長期優良住宅化リフォームを実施することで助成金や補助金の対象になります。これにより控除以外にも、工事の費用に対する負担を減らすことが可能です。普通のリフォームをするよりもお得感がありますよね。また、長期優良住宅は住宅エコポイント付与の対象になりますので、ポイントを貯めて商品券や電子マネーなどと交換することができます。
長期的な諸経費のコストダウンが狙える
住宅の性能をあげて住宅の寿命を伸ばすということは、長期的な目で見て諸経費のコストダウンが狙えるということになります。リフォームを行う際には、住宅の機能としてももちろんですが、日常生活に欠かせない水回りなどの設備を一新する方も多いです。取り入れる設備によっては、電気や水道代の節約機能が付いているものもありますので、環境配慮を行うと同時に長期的な設備維持費・生活費なども安く済ませることができます。
快適な住環境を整えることができる
長期優良住宅は、空き家問題などを解決するといった極端な例だけではなく、住む人がより住みやすい住環境を整える方法のひとつでもあります。家全体が老朽化している場合は、季節によって寒い暑いなどのトラブルが発生したり、害虫被害に悩まされることもありますよね。しかし長期優良住宅化リフォーム工事を実施することで、そうした老朽化に伴う問題点を改善することができ、住む人にとっても快適な家にすることができます。
長期優良住宅化リフォーム推進事業のデメリットは?
長期優良住宅化リフォームについてメリット面を見ていくと、「さまざまな控除を受けることができるならリフォームついでに長期優良住宅化リフォームを行えばいいのではないか」と思いますよね。しかし長期優良住宅化リフォームは誰でも簡単にできるものでもありません。そうした意味では、デメリット面も存在します。では、具体的に長期優良住宅化リフォーム推進事業にはどのようなデメリットがあるのでしょうか。
長期優良住宅の申請費用が高額
長期優良住宅に認定してもらうためには、正式に申請を行う必要があります。その際に申請費用が発生するのですが、実はこの費用が20万~30万円と高額です。長期的に見ると、長期的優良住宅へリフォームすることはコストダウンが狙える方法でもあるのですが、リフォーム工事費用と同時に申請費用が発生するため一般的なリフォームよりも支払金額が多くなります。そのため、長期的なメリットを知っていても申請を断念するという方もいらっしゃいますし、実施するとしても計画的な支払いプランも検討していかなければいけません。
維持保全計画に従う必要がある
長期優良住宅を適切な状態で維持するために、申請時に提出した維持保全計画通りに点検・メンテナンスをしていく必要があります。計画通りに維持保全計画をしないからと言って、すぐに長期優良住宅の認定が取り消されることはありません。しかし、 計画に従わない場合は、認定を行った所管行政庁から改善を求められることがあります。この状態においても点検・メンテナンスを実施しない場合は、最悪の場合長期優良住宅の認定を取り消される可能性があるため、基本的には維持保全計画通りに点検・メンテナンスを行います。ただしこの点検・メンテナンスにおいては、長期優良住宅を維持するために必要な修繕が発生したら、修繕費がかかってしまいます。自分では必要ないと思っていても、長期優良住宅の認定を受け続けるためにはこうした費用も必要経費であることを理解しておきましょう。
リフォーム計画が難しい場合がある
既存の住宅に長期優良住宅化リフォーム工事を行う場合は、リフォームの計画が難しい場合もあります。住宅の状態によっては、リフォーム費用が大きくなりすぎてしまうケースも多いです。そのため、長期優良住宅化リフォーム工事を行いたい場合でも、まずは専門の業者に相談しアドバイスをもらうようにしましょう。予算内で必ずしも実施が可能ではない、ということを頭に入れておきましょう。
長期優良住宅化リフォーム推進事業の申請方法は?
長期優良住宅の認定をもらうためには、国の決めた基準を満たし申請する必要があります。申請自体は物件を保有している本人が行うこともできますし、業者などに代行依頼することもできます。ただし専門知識や細かな事前準備が必要になるため、一般的には業者に代行依頼する方が多いです。しかし代行依頼するにしても、申請方法や内容は押さえておきたいポイントですよね。そのため最後に、長期優良住宅化リフォーム推進事業における申請方法やその内容について、簡単にまとめながら解説していきます。
住宅の現状検査(インスペクション)を行う
リフォームが行われる前後に、専門家による住宅の現状調査が行われます。現状どのような劣化状況があるのか、リフォームによって改善可能なのかなどを、専門家の目で確認していきリフォーム計画に反映します。この段階での現状調査も、その後の保全計画に関わるため重要な検査となります。またこの現状調査は、見つかった劣化症状なども詳しく記録として記載されます。
認定基準に達するリフォーム計画を立案する
長期優良化住宅の認定を受けるためには、具体的に以下の9つの条件を満たすことが必要です。
・劣化対策
・耐震性
・可変性(共同住宅等のみ)
・高齢者等対策(共同住宅等のみ)
・省エネルギー対策
・居住環境への配慮
・維持管理・更新の容易性
・住戸面積
・維持保全計画
上記の計画は、専門知識や技術のある建築士が行っていく必要のある内容です。多くのハウスメーカーや工務店、リフォーム会社で長期優良住宅における対策を行っておりますので、相談時に先に伝えておく必要があります。またそれぞれ対策したからいい、というわけではなく、具体的な評価基準を満たす必要があり、リフォーム計画が難しいものであるということも理解できますね。
登録住宅性能評価機関に性能評価を受ける
登録住宅性能評価機関という組織は、普段生活する中でなかなか聞かない名称かと思います。登録住宅性能評価機関とは、住宅の性能や品質を評価・認定するために設立された機関のことです。長期優良住宅を普及させるためにサポートしている組織で、一般的にはこの後に申請を行う所管行政庁の前に、一度登録住宅性能評価機関に住宅の評価を受ける必要があります。この段階で適合しないと判断された場合は工事における改善が必要ですが、適応となれば所管行政庁に認定申請をすることが可能です。
所管行政庁に認定申請をする
性能評価に合格したら、いよいよ長期優良住宅としての認定申請を行います。認定申請時には、各種図面や設計内容の詳細などを提出する必要があり、基本的にはこうした書類は工事を行った業者が用意します。不足している資料があると申請ができません。また、申請時期はいつでもいいというわけではなく、国土交通省が発表する時期に合わせて行う必要があります。ここまで長い道のりですが、無事認定されると長期優良住宅の仲間入りとなります。
まとめ
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