トタン屋根とは、薄い金属板を使用した屋根の一種で、主に低コストで軽量な建築物の屋根として使われます。使用される建築物は、住宅の他に、工場や物置などがあります。トタン屋根のトタンは、波形の金属板を指す日本語で、日本独特の呼び名です。しかし、波系=トタン屋根ではないため、混同しないように注意が必要です。トタン屋根は海外でも広く使われており、英語では”corrugated iron” や “corrugated metal” などと呼ばれているようです。そんなトタン屋根ですが、街中のいたるところ目にする機会は多いかと思います。一方で、馴染みのある屋根材であるにも関わらず、意外にもそのメリット・デメリットは知られていません。トタン屋根を住宅に取り入れたい、あるいは物置小屋の屋根として取り入れたいと考えている方は、トタン屋根のメリット・デメリットや、メンテナンスについて詳しく解説していきますので、是非参考にしてくださいね。
トタン屋根とは?
トタン屋根ってどんな屋根? と聞かれた時に、スムーズに回答できる方は少ないです。よく目にするものの、実際はどんなものをトタン屋根と呼ぶかは、パッと見では分かりにくい部分もあります。ここではトタン屋根についての基本的な情報について、掘り下げて解説していきます。
亜鉛メッキされた鉄板
トタン屋根は、金属屋根の一種として分類され、その中でも非常にシンプルな屋根材です。具体的には、屋根となる鉄板に亜鉛メッキを施したものをトタン屋根と呼びます。似た屋根材としてガルバリウム屋根というものが存在しますが、亜鉛だけでコーティングされたトタン屋根とは違い、JIS規格において、溶融55%アルミニウム・亜鉛合金メッキ鋼板と呼ばれています。両者を比べると、ガルバリウム屋根の方が、耐食性がトタンよりも優れているという特徴があります。ここではガルバリウム屋根について詳しく触れませんが、金属系の屋根を検討しているのであれば、以下のガルバリウム屋根についての記事も是非参考にしてみてくださいね。
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歴史のある屋根材
日本の屋根と言えば瓦屋根というイメージを持たれる方も多いかと思いますが、実はトタン屋根も歴史のある屋根材のひとつです。トタンそのものは、諸説ありますが、トタン屋根の起源としてフランスで1742年に発明されたと言われています。日本の当時の年号では寛保2年に該当し、解体新書で有名な杉田玄白などがいた時代です。歴史上の偉人を当てはめて年号を見て見ると、とても前からあった屋根材だということが分かりますよね。日本国内で本格的に使われ始めたのが1906年、明治39年頃からと言われています。こうしてトタン屋根が国内に入ると、比較的早い段階から民間にも使われるようになり、当時から工場などの大規模施設などにも使用されていたようです。トタン屋根は、日本国内でも歴史のある屋根材のひとつだということが分かりますね。
トタン屋根のメリットは?
では、ここからは具体的にトタン屋根のメリットについて解説をしていきます。よく目にするトタン屋根ですが、実際に取り入れるにあたって、トタン屋根のメリットを知っておくことも大切です。
軽量で建物への負荷が少ない
トタン屋根は軽量で、金属屋根特有の薄さがある屋根材です。そのため、建物に対する負荷を抑えることができます。軽量だから一番優れている、というわけではありませんが、地震が多い日本において軽量な屋根は好まれる材質でもあります。軽量な屋根の場合は、地震発生時に建物への屋根の重みによる揺れや、落下などのダメージを軽減することができます。屋根は軽量の方が耐震性が向上する、と言われているのにはこうした理由があります。屋根材の中で一番重い瓦屋根と比べると、トタン屋根は10~15分の1程度と、非常に軽いということが分かります。耐震性を向上させるためには、屋根材を軽量にする以外の選択肢もありますが、建物の負荷を抑えるために軽量屋根を選ぶ方は多いです。
低コストで対応できる施工業者も多い
トタン屋根は、元になっている材料が金属板のため、他の素材の屋根材と比べると比較的安価で入手することができます。また長い歴史があり、現在でも幅広い用途で使用されていることから、施工できる業者も多く依頼しやすいというメリットがあります。屋根材は施工費用が高いだけではなく、長い期間にわたって付き合っていくものであるため、金額だけで決めてしまうのは危険です。しかし、できる限り低予算で建物への屋根を検討している方にとっては、トタン屋根が選択肢のひとつになりやすいです。
雨漏りしにくい
トタン屋根は、雨漏りがしにいことで知られています。その理由は、トタン屋根の形状にあります。トタン屋根やその他金属屋根は、継ぎ目がない屋根材です。そのため雨漏りする隙間がなく、きちんとメンテナンスを行えていれば、雨漏りのリスクは低い屋根です。雨が多い地域などでは、こうした理由であえて金属屋根が選ばれることもあります。
ゆるかな傾斜の屋根にも施工できる
屋根の傾斜は、住宅の立地環境やデザインによって変わってきます。法規制が穏やかな立地であれば、屋根の傾斜もゆとりのある傾斜のこともあり、室内も広く使えます。しかし、物によってはゆるやかな傾斜の屋根に屋根材が向かないこともあります。傾斜に適応していない屋根材を使ってしまうことで、雨水が上手く排水できずに、劣化や雨漏りの原因になってしまうこともあります。しかし、トタン屋根の場合は素材に柔軟性がある金属板のため、ゆるやかな傾斜の屋根でも施工することができ、水が流れやすく排水の心配もありません。
トタン屋根のデメリットは?
トタン屋根のメリットを見ると、低価格で雨漏りがしにくいなど、いいところばかりの屋根材に見えますよね。しかし、メリット面だけを見て判断してしまうのは危険です。トタン屋根のデメリット面もしっかりと確認した上で、使用する屋根材を検討するようにしましょう。
防音性が低く音が響きやすい
トタン屋根だけではなく金属屋根全体に当てはまることですが、トタン屋根含む金属屋根は金属という特性上、音が響きやすく防音性が低いです。そのため防音材を一緒に組み込む必要があります。予算の関係でトタン屋根を選ぶ方も多いですが、防音材を多めにいれる必要があるため、トタン屋根単体ではなく屋根施工にかかる全体の金額を把握しておくようにしましょう。
断熱性が低い
金属は熱伝導率が高く、熱を伝えやすい特性を持っています。そのためトタン屋根などの金属屋根は、単体だと断熱性が低い屋根です。物置であれば断熱性において気にならないという方もいらっしゃるかと思いますが、住宅など人が生活する場所で断熱性が低いと生活しにくくなってしまうため、断熱材を多めに入れるなどの処置が必要になります。
屋根が錆びる
トタン屋根は、経年劣化により錆びが発生することがあります。劣化や雨水により亜鉛が溶け出してしまったり、釘などの屋根部品から錆が屋根に広がります。錆びた状態が長く続くと、錆びた部分がもろくなり屋根に穴が開きます。穴が開いてしまうことで、屋根から雨漏りしやすくなり、建物にダメージを与えてしまうこともあります。
トタン屋根のメンテナンス時期は?
トタン屋根のデメリット面にあった錆びについて、不安だなと感じる方も多いかと思います。また、トタン屋根を物置などに使ったとしても、物置が雨漏りしてしまったら物置の中の物もダメになります。そのため、トタン屋根は住宅にしても物置にしても、雨漏りのリスクを下げるために定期的にメンテナンスをしていく必要があります。トタン屋根を検討している方は、メンテナンスの時期を予め計画しておくと、長く安全に屋根を使うことができますよ。
メンテナンスは10年に一度行う
トタン屋根の耐用年数は20~30年程度と言われていますが、定期的にメンテナンスを行わなければ、20年経っていなくても屋根がダメになってしまうことがあります。そのためメンテナンスは、最低でも10年に一度は行っていくようにしましょう。その間に雨漏りがあり修理をしたという場合は、雨漏りが再発していないかの確認をするために5~7年に一度、業者に劣化状況を確認してもらうと安心です。
メンテナンスの内容と費用
トタン屋根の場合、錆びが一番危険な劣化症状すが、屋根の状態に問題がなく軽度な錆びであれば、上から塗装を行うことで問題なく使えることもあります。ただし、劣化や錆びが進んだ状態であれば、葺き替え工事になることがあります。トタン屋根の軽度な修理であれば数万円程度で済むことがほとんどですが、剥がれや錆びなどの状況によっては20~50万円程度かかることがあります。塗装は施工面積にもよりますが、一般的な住宅であれば50~80万円程度と言われています。葺き替え工事は屋根全体を新しくするため、住宅の場合は100万円を超えることも珍しくありません。しかし現状では、トタン屋根よりも性能のいい屋根が増えてきているため、現在トタン屋根で葺き替え工事を検討されている方は、他の屋根を見てから判断しましょう。
トタン屋根は保険適応で修理できることもある
トタン屋根は軽量である点から、突風などの自然災害による被害も受けやすいため、自然災害による被害である場合は保険適応になるかの確認をしてから業者に連絡するようにしましょう。保険の適応に関しては屋根材の指定がありませんが、申請しないと適応になっていてもお金を補助してもらえませんので、必ず業者に連絡する前に調べて確認するようにしましょう。
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まとめ
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