人が居住する目的である建物には、基本的に防水工事と呼ばれる防水処理が施されています。防水工事は、屋根やバルコニーなど雨水の侵入を特に受けやすい部分に行われており、定期的にメンテナンスを行っていく必要があります。ただし防水工事は専門性が高い工事のため、一部の業者が逆手にとって消費者を騙し手抜き工事をするなどの被害が起きやすい部分でもあります。そのため本記事では、防水工事のメンテナンスで失敗しないためにも、防水工事の適正価格と正しい見積もりの取り方や、悪徳業者に騙されない方法について解説をしていきます。
防水工事のメンテナンスはいつ実施する?
防水工事は、新築の際にどの建物にも必要な個所に施される工事です。しかしその後のメンテナンスをしていない方も多く、防水工事にメンテナンスが必要だと認識していなかったという方もいらっしゃいます。防水工事のメンテナンスを怠ると、防水層の劣化などにより雨漏りに発展し舞うケースも珍しくありません。ここでは雨漏りを起こさないために、防水工事のメンテナンスを実施検討するタイミングについて詳しく解説をしていきます。
トップコートは5年が目安
防水工事と一括りに言っても、メンテナンスの頻度にはメンテナンスを行う部分によって違いがあります。その中でメンテナンス期間が比較的短く、定期的に行っていかなければいけないのが、バルコニーやベランダのトップコートのメンテナンスです。トップコートは防水層の上に施工されたコーティングで、防水層への雨水の侵入や防水層の劣化を守る働きがあります。そんなトップコートですが、5年に一度のメンテナンスが必要になる理由は、劣化のしやすさにあります。防水層を守るために施工されている部分で、歩行などによる摩擦や紫外線により劣化がしやすい部分でもあります。トップコートが劣化してしまうと、その下にある防水層に影響が出てしまい雨漏りの原因となるため、トップコートは短い5年というスパンでの点検、また必要があれば再施工が必要となるのです。
防水層は10年~15年に一度
トップコートは5年でしたが、その下にある防水層はトップコートほど劣化しにくいため、10年~15年に一度のメンテナンスで問題ないと言われています。しかし、例えばトップコートが施工されている部分で床面にひび割れやコケなどの劣化症状が認められる場合には、防水層にも影響が及んでいることもあるため10年を過ぎる前に防水層工事が必要になることもあります。立地環境や自然災害の影響など、防水層のメンテナンスや再施工はケースバイケースですので、特に問題がなければ10年~15年に一度を目安に業者にメンテナンスを依頼しましょう。
防水工事の価格相場とは?
防水工事と一言に言ってもその工法はさまざまです。その中でも一般住宅含めよく使われる防水工事が「ウレタン防水」「FRP防水」「シート防水」「アスファルト防水」の4種類です。
◎合わせて読みたい記事!
防水工事の工法は4種類! それぞれのメリット・デメリットは?
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工事内容については上記記事でそれぞれの工法別に解説しておりますので、そちらをご覧ください。ここからは、よく使われる4種類の工法別に一般的な価格相場がどのくらいなのかを解説をしていきます。
ウレタン防水
価格相場:4,000~7,000円/㎡
ウレタン防水には二種類の工法があり、それぞれを「通気緩衝工法」「密着工法」といいます。密着工法は補強布+防水材といった施工を行い、通気緩衝工法では通気をよくするために通気緩衝シート+防水材といった施工を行います。通常であれば密着工法を取り入れることが多いですが、雨漏りをしているなどの場合には通気緩衝工法を使うこともあります。通気緩衝工法の方が密着工法よりも少し高くなることはあるため価格相場の幅が広くなっておりますが、見積もりに工法が記載されているかと思いますので確認するようにしましょう。
FRP防水
価格相場:5,000~7,000円/㎡
FRPは繊維強化プラスティック(Fiber Reinforceed Plastics)の略称で、新築戸建て住宅に多く使われている工法です。軽量なのに強度があるというメリットは日本の木造住宅にぴったりですが、紫外線のダメージを受けやすくメンテナンス回数が多くなりやすいというデメリットもあります。
シート防水
価格相場:4,000~7,000円/㎡
シート防水とは、ゴム製のシートを床面に貼り付けて仕上げる工法です。シートの種類もさまざまでウレタン防水同様、工法の種類によって金額が変わってきます。シート防水の工法は2種類ありそれぞれ「密着工法」と「機械固定工法」と呼ばれています。密着工法は直接下地に張り付ける方法、機械固定後方は機械を用いて下地とシートを浮かせる工法で、脱気筒というものがあります。この脱気筒がある分、機械固定工法は密着工法より高くなりますがそれ以外は特に大きく工事費用は変わりません。基本的には密着工法で行いますが雨漏りが発生している場合などには機械固定工法になり、密着工法より1,000~1,500円/㎡ほど高くなります。
アスファルト防水
価格相場:5,000~8,000円/㎡
アスファルト防水とは、合成繊維不織布のシートにアスファルト製の専用シートを使った防水工事のことです。アスファルト防水には工法が「トーチ工法」「常温工法(冷工法)」「熱工法」の3種類あります。使用する機材の量に金額が比例しており、安い順にトーチ工法、常温工法(冷工法)、熱工法となっております。それぞれ状況に応じて使い分けていくものですので、住宅のメンテナンスは何工法なのか見積もりを確認しましょう。
実際の見積もりが価格相場から外れている場合は?
価格相場を少し外れるくらいであれば、その地域の相場であったり材料費の違いなどがあるため特に気にする必要はありません。また住宅の位置する土地の特徴などにより、車の搬入が難しく手作業での運搬などが発生した場合には見積もりが全体的に高くなる可能性があります。住宅それぞれ大きさや形状、土地の状態が違っているため全てを相場に当てはめて考えることが難しい場合もあります。見積もりが手元に届いたら、ひとつひとつの項目を確認し、防水工事の相場を比べる場合には防水工事の項目部分を確認するようにしましょう。しかし、価格が異常に「安すぎる」「高すぎる」などの場合は注意が必要です。安すぎる、高すぎるの判断が難しい場合、価格相場より10%上下に金額差があるようであれば注意が必要です。
価格が「安すぎる」場合
防水工事の見積もりが価格相場より明らかに安すぎる場合は、必要な工事内容が入っていない可能性があります。そのため他社との比較で最初は安いと思って依頼したとしても、後から何かと理由を付けて追加で金額を請求される可能性もあります。更に悪質な手口ですと破格の工事費を広告などで宣伝し、追加費用を取るだけではなく必要のない工事も「今すぐやらないと危険だ」などといって無理矢理追加されてしまう、あるいは無断で勝手に工事されてしまい後から請求されてしまうといったこともあります。金額の安さは企業努力のひとつでもあり消費者にとっていいこともありますが、あまりにも価格相場から外れた安さは危険です。なぜ安いのか、見積もりをよく確認しましょう。
価格が「高すぎる」場合
防水工事の見積もりが価格相場より高い場合、単純に業者の利益が高く設定されている可能性があります。金額に見合う確かな技術が売りだから高額、など消費者がその金額に納得して依頼する分には問題ありません。しかし、ただ高額な利益を業者が得るためだけに高い見積もりになってしまっているのであれば、消費者にとってはいい事ではありません。他社と比べて高すぎる理由が納得できるものでなければ、依頼するのは避けましょう。
防水工事の正しい見積もりの取り方とは?
価格相場はご覧の通り金額幅が住宅によって違ってくるため、「これが正しい見積もりだ」と判断するのは難しい部分があります。ここでは防水工事で失敗しないために、正しい見積もりの取り方を解説していきます。既に見積もりを取ってしまった、という方でも大丈夫です。依頼する前に本当に信頼できる業者なのかを見極めるポイントも一緒に解説していきます。
複数社から見積もりを取る
防水工事だけに限らず全ての工事に共通することですが、見積もりは必ず複数社から取るようにしましょう。見積もりをいくつか取ることで、住宅に対する相場が見えてきますので特別な知識がなくても、安い高いの判断がしやすくなります。悪徳業者に騙されないためにも、例え最初の見積もりで「今すぐ修理をした方がいい」と急かされたとしても、見積もりを精査する時間が確保できるのであれば複数社の見積もりを検討するようにしましょう。またしっかりした業者であれば契約を急かすということはしてきません。そういった業者の対応なども確認するチャンスですので、冷静に観察するようにしましょう。
同じグレードの材料で見積もりを依頼する
業者に全てお任せしてしまうと、せっかく複数社から見積もりを取ったとしても素材のグレードがバラバラな見積もりになってしまい、比較検討するのが難しくなってしまいます。同じものがなくても同等のグレードになるように業者に依頼するようにしましょう。いまいち分からないという場合は最初に貰った見積もりの素材部分を見せて、同じようなもので揃えて欲しいと伝えておくとスムーズです。
追加費用がないか確認をする
工事を進める上でやむを得ない事情で追加費用がかかってしまうこともあります。そのため見積もりを依頼した際には、見積もりに書かれている以外の金額が発生する可能性を確認しておくと安心です。悪徳業者の手口として後から追加請求をしてくるということがよくありますので、見積もりの段階で悪徳業者を見極める大切なポイントとなります。可能であれば見積もりなどに業者から追加請求が発生する可能性がない旨を記載してもらう、など対策をとっておくと万が一トラブルが起きた際にも言った言わないでもめることがなくなります。
類似施工症例を見せてもらう
見積もりを依頼した際に、類似の施工症例を見せてもらうのもおすすめです。似ている工事内容での完成イメージを持つことができるため、どんな風に完成するか分からず不安だという方も安心できます。また見積もりでは分からない業者の技術力も目で見て分かるため、依頼を決める際の判断材料のひとつになります。金額ももちろん大切ですが技術力を見極めることも大切です。
防水工事で失敗しない業者の選び方とは?
冒頭でも触れましたが、防水工事は専門性の高い工事のため、当然見積もりを見ただけでは消費者は行われている工事が全て正しいものか判断できないケースもあります。こうした悪徳業者を見抜くためにも先ほどご紹介したような相見積もりは必須ではありますが、加えて業者選びの段階でも危険な業者を回避することで、悪徳業者のトラブルに巻き込まれるリスクを下げることができます。また防水工事ではなく、全ての住宅に関わる工事において使える業者の選び方ですので、覚えておくと安心です。
業者に関係する正確な情報を公開しているか
悪徳業者を見抜く方法として有効なのが、業者に関係する正確な情報を、業者がきちんと公開しているかを確かめることです。今は多くの業者がホームページを所有しており、ホームページ内で対応している工事や金額などを公開して集客につなげています。しかしこうしたホームページやホームページにつながるインターネット広告などは、一部悪徳業者が紛れ込んでいる可能性があり、定期的に消費者センターからも注意喚起されています。一見しっかりとしたホームページがあれば大丈夫なようにも思えますが、インターネットに紛れている悪徳業者は、ほとんどが正確な所在地や電話番号を公開していないことがほとんどです。記載してあってもでたらめであるケースも実際にあります。そのため業者に見積もり依頼する前には、業者の所在地は間違っていないのか、また電話が本当につながるのか確認しておくと安心です。
消費者目線の提案をしてくれているか
悪徳業者や利益だけを考えている業者は、必要のないオプションを付けようとしてきたり、曖昧な説明で勝手に見積もり費用を増額させてしまうといった手口を使い不当な利益をあげています。きちんとした業者であれば、追加工事が必要になる可能性か、なぜその工事が必要なのかについて消費者目線で提案をしてくれます。消費者目線で提案してくれる業者は、利益だけではなく建物や消費者の負担を考えて提案するため、無理な工事契約をしようとはしません。しかし悪徳業者や利益重視な業者は、不自然に追加工事を提案してきたり十分な説明がないことも多く、不信感を感じる方も多いです。「業者が寄り添ってくれない」「不信感がある」と感じた場合は、例え悪徳業者ではなくても契約をしないようにしましょう。
防水工事における知識や技術がある業者か
防水工事を行う業者は、建設業許可の防水工事業において許可を取る必要があります。これは職人ではなく業者に求められる資格ではあるものの、実際に防水工事業の許可を取るためには、「防水工事業に関する資格、または防水工事の実務経験が10年以上ある(特定の学科を卒業している場合は実務経験がを5年に省略)」という条件を満たす必要があります。その他にも条件は設けられているものの、実質知識や経験がない業者は業者として防水工事の許可を取ることができないのが現状です。そのためまずは業者そのものが防水工事業の許可を習得しているか確認することが大切です。次に現場の作業員ですが、作業員には一人ひとりに厳格な資格の規定はありません。ただし持っている方がいいとされる資格としては、「1級~2級建築施工管理技士」「技能検定1級~2級防水施工」「防水施工技能士」です。それぞれの資格を有している作業員は、防水工事において高い水準の知識や技術があることの照明にもなるため、作業員についても事前に確認しておくと安心ですよ。
まとめ
イーライフでは経験豊富なアドバイザーが、専門的なこともわかりやすくご説明します。パックプランをご用意しているので、追加料金が発生する心配もありません。もし他社の見積もりがあればご持参ください。当社との見積もりの見比べやご相談にも対応可能ですので、是非お気軽にご連絡ください。